美学のある人になるために、必要な「勇気」とは?
NOと言う勇気。
慣れてきたら、だんだんとその範囲を広げていきます。 ふたつ予定が重なったら、「行くべきほう」ではなく「行きたいほう」へ。やることが山積みになっていたら、「響くもの」から。 このように範囲を広げていくと、自然と、何かを断る必要が出てきます。 たとえば、重なった予定の片方にYESということは、もうひとつにNOと言うことでもあります。 この時、試してほしいのは、「先約を優先すべきだから」とか、「断ると雰囲気が悪くなるから」という義務感やあきらめで選択するのではなく、自分にとって大切なほうを選択してほしいということです。 私たちは、人間関係を壊したくないと思えば思うほど、NOは言いづらいと感じます。「付き合いが悪い人と思われたらどうしよう」「もう誘ってもらえなかったらどうしよう」「相手をがっかりさせたらどうしよう」などいろんな心配が渦巻きます。 NOと言うことは、それ自体が誰かを傷つけたり、人間関係を断絶するものではありません。むしろNOと言いながら、関係を深めることも可能です。NOの背景を話せば、あなたが何を大切にしようとしている人なのかが相手により伝わります。それは、あなたのアール・ドゥ・ヴィーヴルが、自分だけではなく相手にも垣間見える機会でもあるのです。 上の例で、先約を断らなければならない時、あなたのことを大切に思ってくれている人たちならば、事情を話せば、きっと「そんなに行きたいところがあるなら行っておいで」と理解してくれるはずです。その人たちも、あなたが幸せになるのを邪魔したいわけではないのですから。 「今回はごめんなさい。ほかの日はいかがですか?」「こういうのは苦手です。でも、こんな機会だったら行ってみたいと思います」など、自分の望みを通すだけでなく、自分とその人の希望の両方をかなえる方法を一緒に考えることもできます。 逆に義理を優先して行って、つまらなさそうにしていることほど、お互いにとって不毛なものはありません。 もちろん、断ることで次の機会がなくなるということもあるでしょう。嫌われることもあるかもしれません。そうしたら、それはそこまでの縁ということなのかもしれません。これは人間関係だけではなく、仕事など、ほかの局面でも同じです。 「この仕事よりも、もっとこちらをやってみたいと思うのです」と、NOだけでなく、何にYESなのかを伝えれば、周囲の人にも、あなたが何を大切にして、何のために働こうとしているのかが伝わります。察してもらおうとするのではなく、自分から、何がYESなのかを伝えてみましょう。その小さな一歩の積み重ねが、あなたのアール・ドゥ・ヴィーヴルを創っていきます。 では、今回の宿題です。 自分が喜ぶ感覚に素直になって選択し、大胆に行動してきてください。 少しの勇気を持ってみて。「大胆」というのは自分基準で大丈夫です。新しい場所に飛び込むことにドキドキする人もいますし、愛を伝えることに勇気が必要な人もいます。自分なりのチャレンジをしてみてください。 「これをやって何になるの?」という声が聞こえてきたら? 初回から読んでくださっている方なら、もうおわかりですよね。「いまは、アール・ドゥ・ヴィーヴルを見つける旅の途中だから」と言っておきましょう。 ではまた1週間後に! 畑中景子/ Keiko Hatanaka プロフェッショナルコーチ、CTIジャパン ファカルティ。プロフェッショナルコーチとして、経営者や起業家を中心にリーダーシップの意識の目覚めと可能性の開花を支援しているほか、世界最大の体験型コーチトレーニング及びリーダーシップ開発機関CTI(The Co-Active Training Institute)にて、ファカルティとしてトレーナーを務める。CTI認定CPCC。国際コーチング連盟認定PCC。INSEAD MBA。ポッドキャスト「独立後のリアル」パーソナリティ。神保町PASSAGE「ここみち書店」店主。 @keikotrottolina
text: Keiko Hatanaka portrait: Maki Matsuda