「家賃と同額程度の返済額で住宅を買えます」 家賃と同じくらいの住宅ローンは危険でしょうか?
「家賃と同額程度の返済額で住宅を買えます」という不動産広告を目にすることがあります。毎月の返済額が家賃とほぼ変わらないなら、ローンで住宅を購入しようと考える人もいるでしょう。 しかし、住宅ローンの利用や住宅の所有に当たっては、賃貸とは異なるさまざまな費用がかかります。本記事では、住宅ローンを組んで住宅を購入し、所有する場合の注意点について解説します。
住宅購入時に必要となる諸費用と借入金利
住宅の購入に際しては、物件の価格に諸費用を加えた購入価格を準備する必要があります。また、住宅ローンの借入金利は、融資率(購入価格に占める借入金額の割合)に応じて変わります。 1. 諸費用 住宅を購入する際には、仲介手数料、印紙税、登録免許税、不動産取得税、住宅ローンの融資手数料(事務手数料、保証料)といった諸費用がかかります。諸費用は、金融機関や物件の種類、住宅ローンの内容でも変わりますが、物件価格の3~10%程度が目安となります。 また、新築マンションを購入する場合は、将来の大規模修繕の費用に充てるための修繕積立基金を諸費用として支払う必要があり、金額は物件の立地や規模などによって20万~40万円程度となっています。 2. 頭金 頭金とは、住宅ローンを借り入れる際に購入価格の一部に充当するお金で、頭金が多ければ借入額を減らして融資率を抑えられます。 最近では、頭金がなくても購入価格の全額を住宅ローンで賄うことができますが、融資率が9割を超えると図表1(長期金利固定型住宅ローン「フラット35」の例)のように、住宅ローンの借入金利が一般的に高くなります(※1)。
したがって、融資率を9割以下に抑えられる頭金を準備できなければ借入金利が高くなるため、毎月の返済額が同じく家賃と同額程度でも、住宅ローンで借り入れ可能な金額は少なくなります。また、金利が高ければ、借入額に対する総返済額(元金に支払利息の総額を加えた額)が多くなります。 家賃10万円の方が、毎月の返済額10万円でフラット35(返済期間35年)を利用して住宅ローンを組む場合、融資率の違いによる借入可能額や購入できる物件の価格、総返済額を比較すると図表2のとおりになります。