新型ホンダ・フリード、ついに全貌判明! トヨタ・シエンタに挑む!
新型ホンダ「フリード」のプロトタイプに、今尾直樹が見て、触れた! 印象をリポートする。 【写真を見る】新型フリードの内外装を徹底チェック(23枚)
2モーターのe:HEV搭載へ
ホンダのコンパクトミニバン、フリードの新型がこの6月に発売になる。5月9日、デザインとコンセプトがホンダのホームページの特設サイトで先行公開された。これに先立ち、4月某日、都内某所で事前説明会が開かれ、記者も実車を見てきたので報告したい。 そもそもフリードは「モビリオ」の後継として2008年に登場した、全幅1.7m以下の5ナンバーサイズで、3列シートとリヤにスライドドアを持つ小型ファミリーカー、いわゆるミニバンである。取りまわしがよくて運転しやすいサイズのわりにキャビンが広く、キャプテンシートの6人乗り仕様だとウォークスルーもできて、とりわけ子育て世代の支持を得ている。現行型は2016年発売の2代目で、モデル末期にもかかわらず昨年度の自販連の統計「乗用車ブランド通称別順位」で10位に入るほど高い人気を維持している。 そんなベストセラーなのだから3代目もキープコンセプトは当然である。グランドコンセプトの「“Smile” Just Right Mover(“スマイル”ジャスト ライト ムーバー)―こころによゆう 笑顔の毎日―”」は、初代の“ちょうどいい”をこんにち的な表現に変換したものだろうし、生活密着型の道具、あるいは生活のパートナーとしてどうあるべきか、ユーザーの意見も参考につつ、さらなる改善が図られている。 パッケージデザインのコンセプトは、“よゆうの視界”“よゆうの空間”“よゆうの荷室”と、されている。幕の内弁当からカプセルホテルまで、限られた空間を限りなく有効に使う、そういう工夫がニッポン人は得意なのかもしれないし、好きなのかもしれない。 ということはともかくとして、プラットフォームは現行フリード用を継承している。したがって2740mmのホイールベースは同一。基本的にエンジン横置きの前輪駆動で、4WDの設定もある。ハイブリッドはこれまでのSPORT HYBRID i-DCD(1.5リッター・ガソリン+モーター内蔵の7速DCT)に換えて、2モーターの「e:HEV」が採用されている。詳細は未発表ながら、現行「フィット」とパワーユニットを共有しているはずだ。ということは、1.5リッターのガソリンもある。 2モーターのe:HEVは2モーターのハイブリッドよりもかさばるため、フロントのボンネットが若干のびている。それでも4310mmの全長は現行型比45mmプラスにとどめられている。実際、新型フリードは十分コンパクトに見える。 モデル構成は、2タイプ設定されている。標準仕様を新たに「エア」というサブネームを与え、クロスオーバー仕様の「クロスター」と、キャラクターわけを明確にすることで、より幅広い層にアピールしようというのだ。 エアは2022年発売の現行「ステップワゴン」で初めて用いられた名称であり、“安心・快適・家族中心”“日常・多様性”を、モットーにしている。クロスターは2019年に現行型のマイナーチェンジでくわわったアウトドアテイストの仕様で、2020年に登場したフィットにも設定されている。新型フリード・クロスターではフロントにシルバーのガーニッシュが与えられ、専用デザインのホイールやオーバーフェンダーなどで、ゴツくてタフなムードを演出し、“遊び心”と“非日常的・個性”を打ち出している。ただし、タイヤはサイズも含めてエアと同じで、クロスターにのみ2列シートの5人乗りが設定されていること以外、機能面では変わらない。 ちなみに現行フリードの標準型とクロスターの販売比率は8:2程度で、現行型では標準型の3列6人乗りのハイブリッドに人気が集まっている。