ホテルに行ったほうが悪い?セカンドレイプはなぜ起こるのか【作家アルテイシアに聞いた】
ジェンダーギャップ・ランキングにおいて、日本は146カ国中125位。性暴力事件が起きると、SNSでは被害者を擁護する言葉よりも、二次加害を助長する言葉であふれているように見えます。フェミニズムについて発信を続けるアルテイシアさんにお話を伺いました。 【画像】アルテイシアさんの著作、おすすめはこれ!
ホテルに行ったほうが悪いって本当?
――男性タレントの性的暴行疑惑が話題になった際など、SNSでは必ず「ホテルに行った女性が悪い」「部屋に入ったならしょうがない」という意見が見られます。なぜ暴行をしたほうではなく、されたほうを責める空気が生まれてしまうのでしょうか。 アルテイシアさん:痴漢に遭ったら「そんな服装をしているほうが悪い」、夜道で不審者につけられたら「なぜそんな夜遅くに一人で歩いていたんだ」と被害者の女性が責められます。 スリや強盗に遭った人にはそんな言葉をかけないのに、性暴力は被害者が二次加害にさらされる。二次加害を怖れて相談や通報をできず、支援にもつながれない被害者は多いです。そして加害者は野放しになるんですね。 なぜ加害者じゃなく被害者を責めるのか? ひとつは日本が性暴力に寛容な国だからだと私は思います。痴漢もの・レイプものと言われるAVなどもネットで簡単にアクセスできてしまう。性暴力が下ネタやエロネタとして消費されている社会なんですね。 また、この男性中心社会において、男性の当事者意識のなさも原因にあると思います。性犯罪の被害者の90%以上が女性で、加害者の95%以上が男性です。そうした非対称性から、性被害に遭う恐怖や苦しみが今ひとつピンとこないという男性は多いのではないでしょうか。 ――ドラマ『不適切にもほどがある!』では、セクハラに対し「(自分の)娘に言わない、やらないことはしない」というセリフがありましたね。 アルテイシアさん:このセリフには、当事者意識のなさに加えて、「女子どもは男の所有物」という家父長制の意識もにじみ出ていると思います。自分の所有物だから大切にするのではなく、誰であっても大切にしなきゃいけない、人権侵害をしてはいけないんです。そもそも自分の娘に性虐待する父親もいるので、このセリフはどうかなと思っています。