【社説】小中高や軍部隊まで入り込んだ驚愕の「ディープフェイク」性犯罪
違法合成画像(ディープフェイク)による性犯罪が韓国社会のあちこちで猛威を振るっている。大学街はもちろん、未成年者である小中高生まで対象にしたうえ、軍部隊では軍内部のネットワークで見られる証明写真を使った大胆な犯罪まで発生している。まるで人が集まっているところならどこでも性犯罪物が作成・流布されているのではないかと疑われるほどだ。当局はこのような状況になるまで何をしていたのか。 先日、釜山(プサン)のある中学校で、一部の生徒が同じ学校の生徒と教師を対象に違法合成画像を作成し、カカオトークのグループチャットルームに広めた犯罪が明らかになった。警察にはこの生徒たちに対する告訴状が届けられたという。ソーシャルメディアへの投稿によると、このような被害が発生した全国の中高校は150校に達するという。デジタルコンテンツに慣れている10代の青少年の間で、ディープフェイク性犯罪が蔓延しているのだ。特に青少年たちはインターネット関連技術に詳しいため、オンライン性犯罪にさらにさらされる危険がある。これに先立ち、全国70の大学でディープフェイク犯罪が摘発されたことも衝撃的だが、未成年の生徒たちまでこのような犯罪にさらされているとはあきれるばかりだ。 ハンギョレの報道で明らかになった軍部隊のディープフェイク性犯罪も非常に深刻だ。女性軍人を狙った性犯罪物が流布されたテレグラムのチャットルームは8日から運営されていた。運営者は女性軍人を「軍需品」と蔑み、「彼女たちが優越感を持つ理由は軍服を着ているため」として性的対象化したという。同僚の軍人を生死苦楽を共にする戦友とみなさない非常識な軍隊が、どうやって本来の役割を果たすことができるだろうか。ハンギョレが情報提供者を通じて確認した女性軍人対象の違法合成画像は、軍のイントラネットでしか入手できない証明写真や公務員証写真などを使っていたことが明らかになった。イントラネットは軍内部者だけが入れるため、誰がこの資料を活用して性犯罪画像を作ったのか追跡が可能だ。国防部は直ちに加害者を見つけ出して罰し、多くの人への戒めとしなければならない。 ディープフェイク性犯罪は、サーバーが外国にあり捜査網を避けやすいテレグラムを通じて行われる。このような理由から警察が捜査に消極的な態度を示しているため、被害者が直接加害者探しに乗り出している。ソーシャルメディアにはディープフェイク被害の情報提供を求めるチャットルームが作られ、被害を予防する行動規則も共有されているという。大統領が口を開けば「法治」を強調する政権で、このようなことが起きるとは情けない。政府はこれ以上犯罪を放置せず、積極的な対策を講じなければならない。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )