【学校の断熱最前線】ヤバすぎる暑さ・寒さの教室を断熱ワークショップ、歴代生徒会で実施。ストーブ10分だけで教室中ずっと暖かく 長野県・上田染谷丘高校
「上田染谷丘高校では、5年ほど前から生徒会が中心となって『染めDGs』と称したSDGs活動を行ってきました。2022年、とある生徒が生徒会選挙で『教室の断熱ワークショップに取り組む』という公約を掲げて副会長に当選。県が始めた初年度の学校断熱プロジェクトに応募し、6校のうちの1校に選ばれたのです。 次の生徒会選挙で選ばれた生徒会長がその志を継ぎ、2023年2月にワークショップを実施。その生徒会長は今春卒業してしまったのですが、後輩の生徒会長たちが志を引き継いで、2代にわたってワークショップを行ったというわけです」(上條先生)
現生徒会長の竹内美乃宜(みのぎ)さん。今回の経験を次の代の生徒会にもしっかり引き継ぎたいと話す。
上田染谷丘高校で断熱ワークショップが行われたのは、3階の西端に位置する講義室。通常クラスで使われている教室ではなく、入試対策の講義などで主に3年生が利用する場所です。 実はここ、南側だけでなく北側にも窓があるため、エアコンで冷やした空気もストーブで暖めた空気も、窓を通じて外に逃げ、外気温の影響を強く受けてしまいます。最上階ゆえ、夏は屋上からの熱がダイレクトに伝わり、夕方は西日で壁が熱せられ蓄熱して酷い暑さに。冬は灯油ストーブが一台設置してあるものの、ストーブの近くは暑いが離れると寒くてたまらない、という現象が起きていました。
「ふだん終日使う教室ではありませんが、校内でいちばん過酷な環境だからこそ、断熱効果がはっきりわかるのではと、この教室が選ばれました」(藤川さん)
2年に分けて1部屋を断熱改修
1年目は2023年、2年目は2024年。どちらも2月の2日間にわたり、断熱ワークショップが開催されました。参加したのは生徒会メンバーを中心とした生徒たち約25名と、先生や指導者、関係者約10名。上田市内の工務店と、藤川さんらNPO法人がサポートしました。 長野県からの予算は1年目が60万円、2年目が100万円。材料費すべてをまかなうことは難しい状況でしたが、断熱材メーカーや断熱材メーカーから断熱材、隣の東御市の材木店・第三木材から羽目板の寄付の申し出があったそうで、地域とのつながりを実感するきっかけにもなったようです。