選び方から使い分けのコツまで、マニアが語りつくす、洗剤のすべて。
錫村 大まかにお話ししておくと、洗剤は、溶液中の水素イオン濃度ペーハー(pH)値によって「中性」「酸性」「アルカリ性」の3つの液性に分けられます。pH7あたりの洗剤が「中性」、それより小さいと「酸性」、大きいと「アルカリ性」です。中性洗剤は付着から時間が経過していない汚れ全般に効果的。ですから、藤原さんのように中性洗剤でこまめな掃除を心がけるのは理想的です。汚れの重症化も防げます。 藤原 よかった(笑)! 錫村 酸性洗剤は浴室やトイレ用洗剤に多く使われ、水垢や尿石、先ほどお伝えした金属石鹼などに有効です。ただ、浴室のドアに使われるアルミ素材などは、変色する可能性があるので注意が必要。アルカリ性洗剤は洗浄力が強力で、頑固な油汚れや焦げに効く分、皮膚につくと痛みを感じたりするので、ゴム手袋を着用の上、注意して使用することをおすすめします。
油汚れに悩むキッチンでは、焼かれているか否かで使い分けを。
藤原 中性洗剤だけでは対処しづらい場所ごとに、適した洗剤を挙げていきましょうか。まず家の中で掃除の厄介さに直面する場所と言えば、キッチン。油汚れと焦げが悩ましい。 錫村 特に油汚れが目立つコンロ周りは、〝焼かれているか〟で洗剤を分けるといいです。腰から上、壁パネル、レンジフード、冷蔵庫の上部につくのは「焼かれていない油汚れ」。油を含んだ蒸気が飛んだ、落としやすい汚れなので、ハードな洗剤に頼る必要はありません。僕なら超電水クリーンシュ!シュ!で拭き掃除を勧めますね。油汚れにはアルカリ性洗剤が効くんですが、このクリーナーには非常に純度の高い電解アルカリイオン水が使われているんです。気持ちいいくらいにサッと落ちます。類似品でもたいていの油汚れは落とせますが、仕上げのスッキリ感は他に勝ります。 藤原 私はアルカリ電解水が配合されたシートタイプを使用。雑巾を使う手間をなくし、使い捨てられる楽さを取っています。マツキヨの消臭キッチンクリーナーは界面活性剤不使用なので二度拭きも不要。気になる箇所に張りつけて、油汚れが緩んだところで拭き上げる作業を、週に数度繰り返します。 錫村 調理を終えた直後の熱いフライパンに電解アルカリイオン水をシュッと吹きかけると、ジュッと音がして一気に油が落としやすくなりますよ。汚れは熱が加わると洗剤により反応しやすくなることも覚えておくといいでしょう。 藤原 〝焼かれた〟焦げについてはどうですか? 私は「焦げでお腹は壊さない」と考えてある程度は許容する派。目立ってきたら、カネヨの赤丸クレンザーと金属タワシでやれるところまで擦り落とし、落ちなかったら諦めています。クリームクレンザーは汚れを浮かせるための界面活性剤が入っているので、研磨材量が少なめ。個人的には焦げに研磨材がしっかりアタックする粉末クレンザーを使うことが多いです。 錫村 重度の焦げは擦る労力を省くため、THE POWERを使います。ジェルタイプで、五徳やグリルの焦げに吸着させたら、後はジェルごと剥がすだけです。焦げ落としは難易度が高く、本気で落とそうと思うと、強力なアルカリ性洗剤が必要。不可欠なのは苛性ソーダで、THE POWERには必要量がきっちり配合されています。