引退の森泰斗騎手がラストデー8戦4勝と大活躍 ファン殺到で「一生忘れられない光景になりました」
最後の最後まで勝利、リーディングにこだわり続けた森泰斗騎手(43)=船橋・騎手会=らしいラストデーだった。29日の船橋競馬で現役生活に別れを告げた名手は、南関東で一日最大限の8鞍に騎乗。いきなり1、4、5Rと3連勝すると、6R2着を挟んで7Rでも1着となり、引退が惜しまれる手綱さばきを披露した。 【写真】ド派手に宙を舞う!ジョッキー仲間が胴上げ この日の船橋は、開門前からファンが長蛇の列を作るなど平日とは思えない盛況。お目当てはもちろん、緑と青の勝負服に身を包む名手だ。その期待に、騎乗で応えていく。1Rは1番人気のワンラブでクビ差V。続く4Rも1番人気タカラバディウス、さらに5Rでは3番人気のオマタセシマシタと3連勝を飾る。6Rのリボルトバレットは惜しくも2着に敗れたが、7Rの2番人気ビレッジスティールで勝利を飾った。ラスト騎乗となった最終レースのラップランドはファンの期待もあって1番人気。先頭を走っていたが、残り100メートルあたりでかわされ、惜しくも2着でのフィニッシュとなった。 引き揚げてきた馬上でファンに向けてお辞儀。場内からは鳴りやまない「泰斗コール」が送られ、ジョッキー仲間による胴上げで締めくくられた。地方競馬での通算成績は2万8333戦4448勝。重賞は71勝を挙げた。JRAでも210戦11勝の成績を残した名手は惜しまれがらも勝負服を脱ぐ。 全ての騎乗を終えた後の取材対応では「競馬は甘くないですね」と最終レースの2着を振り返りつつも「無事終わってホッとしています。今日は割と悔いのない騎乗をして、4勝もさせてもらいましたしね」と納得のラストデーとなった。続けて「(ファンから)声援を送ってもらったり、涙を流す調教師の方々がいたり、ありがたかったです。どういう形になるか分かりませんが、またファンの皆さんにお会いできたら。一生忘れられない光景になりました」と屈託のない笑顔で騎手生活最後の日を締めくくった。 1月に行われる調教師免許試験の願書は提出する意向だが、あくまで選択肢のひとつという位置付け。今後については、引退の要因に挙げた心身のリフレッシュを図りながら決めていくという。全国リーディングを独走する中での引退は惜しまれるが、まだ43歳。騎手時代と同様、ファンを沸かせる活躍を心待ちにしたい。
東スポ競馬編集部