朝はパン、昼はそうめん、眠りが浅い… 「梅雨になんとなく不調を感じやすい人」の特徴と対策
夏至が過ぎ、暦の上ではもう夏。梅雨があければ、あのうだるような暑さの夏がまたやってきます。自律神経が乱れ、さまざまな不調を感じやすいこの時期を乗り切るためにも、日常生活を見直してみましょう。そこで今回は、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、自律神経の不調を軽減する食薬習慣と、NG習慣を教えてくれます! 【保存版】不調を招きやすい夏特有の食事とは… 「自律神経の乱れによる不調を感じやすい人」のNG習慣まとめはコチラ
夏は自律神経の乱れからくる不調にご用心
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 271 夏至を迎え、太陽が本格的に夏を感じさせる位置へと移動しました。今後、分厚い雨雲と燦々と降り注ぐ強烈な紫外線が代わる代わるやってきます。汗だくになるときもあれば、エアコンで冷えてしまったり、寝苦しくて睡眠が浅くなったり、食欲にムラができたり、だるさを感じたり、日替わりで様々な不調を感じることもあると思います。 これからの時期、自律神経を乱してしまう要素が増えていくため、体調管理を難しく感じるかたが増えていくことが考えられます。実際、9月末の秋分の日までの3か月くらいは特に過ごしづらいです。ですが、環境に翻弄されるだけではなく、体の基礎作りとなる習慣を淡々と日常生活に取り入れていくようにすると、夏を楽しく活発に過ごすことができると思います。ということで、今週は自律神経の不調を軽減する食薬習慣を紹介していきます。 今週は、自律神経の不調を軽減する食薬習慣 汗ばむ日が続きますよね。ただ、エアコンの部屋にい続けると足がむくんだり、冷えたりして、重だるくなったりすることもあると思います。一方、エアコンを止めたり外にいると汗が大量にでてきますが、湿度が高いため、かいた汗も蒸発しづらく、体温調節に苦戦してだるくなることもあります。さらに、直射日光に当たっていると、目から入る紫外線により活性酸素が大量に発生し、だるさを感じることもあります。雨が降れば、低気圧の影響で頭痛、めまいなどがすることもあります。 このように、今の気候は自律神経が乱れることにより、だるさを感じたり、睡眠の質が低下したりと、疲れを感じやすいので、夏が嫌いになってしまう人もいるかもしれません。 食事も、暑さとだるさでやる気がおきず、レトルト食品が増えたり、朝食がパン食に固定されたり、休日には麺類が増えたり、晩酌や夜中にアイスを食べる習慣がついたり、冷たい飲み物に偏ってしまうということはないでしょうか? ですが、そんな夏にありがちな行動が、実は自律神経を乱しやすい体へと導いてしまうかもしれないのです。 汗から水分やミネラルが消耗される時期なので、不調を感じるときはミネラルを多く含むご飯やみそ汁がある和定食のスタイルを心がけるようにするのがおすすめです。漢方医学では、自律神経を乱しやすい状態を『気血両虚』、お腹を冷やして栄養の消化吸収力が低下し、腸内環境が乱れメンタルに影響しやすくなる状態を『脾気虚』と考えています。 そこで今週は、『脾』の働きをサポートし、『気血』を補う食薬を紹介します。今週食べるとよい食材は、【ホタテとカブのカルパッチョ】です。 そして逆にNG習慣は、【朝パン、昼素麺、夜中のアイス】です。 食薬ごはん【ホタテとカブのカルパッチョ】 消化を促すカブの白い部分と抗酸化作用の高いカブの葉の緑の部分を丸ごとつかって、『脾』の働きをサポート。さらに、ホタテと和えることで、『気血』を補うミネラルやたんぱく質、ビタミンB群などを補充します。また、ホタテには、グリシンやプラズマローゲン、タウリンなどを含み肝臓の働きを支えたり、睡眠の質を高めたり、脳疲労や肉体疲労をサポートする働きがあります。 <材料> ホタテの刺身 6個 カブ 2個(一口大) レモン汁・オリーブオイル 各大さじ1 ブラックペッパー・醤油 適量 <作り方> ポリ袋に材料を入れ5分くらいおいたら完成。 NG行動【朝パン、昼そうめん、夜中のアイス】 ついつい楽をして朝のパンや昼のそうめん、夜のレトルト、夜中のアイスを毎日続けてしまうことはないでしょうか。夏は、このようにお腹を冷やし、糖質や脂質過多になることが多くなってしまう人が多いです。ですが、夏の元気な体づくりのためには、ミネラル、ビタミン、たんぱく質などが必須です。 今食べやすいものだけを食べるという日もあってよいと思いますが、だるい、眠れない、疲れやすいなどの不調を感じるときには、そういった食事が連続しないように管理することも大切です。スッキリしないという人は、長期的に続く夏なので、習慣の見直しをすることで、バテにくい体をコツコツつくっていくことが元気への近道になります。 夏は、本来お祭りや花火大会、BBQ、キャンプ、プールや海など楽しいイベントがたくさんある季節です。年々、暑さが厳しくなってきていますが、環境に適応できるかどうかは、内側からのケアにかかっています。夏本番になる前に食薬を取り入れて、強い体を作っていきましょう。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)や新刊『だる抜け ズボラ腎活(ワニブックス)』でも紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。 ※食薬とは… 『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。 近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。 ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。 Information <筆者情報> 大久保 愛 先生 漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。 公式LINEアカウント@aika ©Deny/Adobe Stock
大久保 愛