150キロ超を続々輩出…無名の“好投手”を見出す着眼点 後戻りできない「小手先頼り」
オリ・宇田川らをプロへ…仙台大・森本吉謙監督が“成果物”と語る伸びしろのポイント
多数の投手を地方大学からプロに送り出している指導者は、選手のどの部分に“伸びしろ”を感じるのだろうか。今春の仙台六大学リーグを無敗で制し、全日本大学選手権に出場した仙台大の森本吉謙(よしかた)監督は、これまで熊原健人(元楽天)、馬場皐輔(巨人)、大関友久(ソフトバンク)、宇田川優希(オリックス)ら150キロを超える好投手をプロに輩出してきた。無名の選手の伸びしろを見抜く上でのポイントがあるという。育成年代に大切にしてほしいことも含めて話を聞いた。 【画像】たった3週間で効果の声も 胸郭を柔らかく…球速アップにつながる上体ひねり 森本監督は、筑波大のコーチを経て、2004年に仙台大の監督に就任。2014年春のリーグ戦で67季ぶり3度目の優勝を果たすと、今春は10勝0敗で2季ぶりの奪冠。優勝回数も東北福祉大(76回)、東北学院大(18回)に次いで、2桁の10回に到達した。今年から侍ジャパン大学代表のコーチも務めており、来年ドラフト候補の最速152キロ左腕・渡邊一生(3年)を自チームから代表に送り出すなど、その指導法には定評がある。 森本監督は、まず高校生投手をスカウティングするにあたり、大切なこととして「腕の振り」を挙げる。 「インスピレーションに近いのですが、単純に腕の振りを大切にしています。それがその投手の最終的な“成果物”だと思っていて、実際に球速が出ずに、まだまだの状態であっても、腕の振りに魅力があるということは、下半身の使い方であったり、軸足の使い方がしっかりしているので、そういったことは見ていますね」 腕をしっかり振るというのは、簡単なようで難しい。直球を投げる時は力強く振れていても、変化球で緩むケースも多く、打者にとっては球種が読みやすい。また、変化球にばかり頼っていると直球の走りが悪くなることもある。育成世代から小手先に走らず、強いボールを投げる意識が大切になると語る。 「ジュニアの頃からあまり突飛なことはしないで、基本的な運動能力をしっかりと磨いて、そこから土台を作っていってほしいです。特に投げることに関しては、一度悪い癖が身につくとなかなか難しくなってきます。単純に体を使って投げられるとか、そういうところがおろそかになってしまうと、取り返しがつかない部分も出てきます」