「俺が好きな選手になれ!」ドラゴンズ井上一樹新監督を待つ投打の重要課題
打の課題~得点力のアップ
そんな井上新監督を待つのは、3年連続最下位という厳しい現状と投打の課題である。まず長年の課題であり、現役時代"天才打者"として名を馳せた立浪監督にしても打破できなかったのが"打"である。立浪監督3年目の2024年は、チーム打率2割4分3厘でリーグ3位、本塁打数は68本でリーグ4位、前の年はそれぞれリーグ最下位だったことからすれば、大きく改善された。 しかし、問題は得点数である。チーム全体での373点は前年よりも少なくなり、リーグ最少であることは変わらなかった。要するに「ヒットやホームランは出るが、点が入らない」のである。シーズンを通して、毎日のようにオーダーが変わり、スタメンを固定できなかった"日替わり打線"だった。はたして井上新監督は、どんな打線を組むのだろうか。
投の課題~先発投手の確立
"投手王国"と言われていた言葉が、いつのまにか影を潜めてしまった。松山晋也が最優秀中継ぎ、ライデル・マルティネスが最多セーブ、それぞれタイトルを獲得するなど、リリーフ陣はシーズンを通して安定していたが、豊富と見られていた先発陣は、最優秀防御率を達成した高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)の存在のみが際立った。 広いバンテリンドームを本拠地とするチームの"命綱"とも言えるチーム防御率も、前年のリーグ2位から4位へと落ち込んだ。先発ローテーションの再整備も重要な課題である。新監督を待つ舞台は、実は厳しいものであることは間違いない。 それでも、一般企業でもそうなのだが"新しい風"は組織の空気を変える。大切なことは、その風にどのように乗っていくのか。残念ながら、クライマックスシリーズも日本シリーズも縁がない淋しい秋。しかし、秋季練習、コーチ陣の組閣、ドラフト会議、そして2年ぶりに沖縄の北谷町も舞台になる秋季キャンプと、井上新監督が持ち込む"新風"の行方を見守る秋である。「俺が好きな選手」が一人でも多く育つことを楽しみにしている。 【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】 ※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が"ファン目線"で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。
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