若者が街に増え新店も続々! 新旧の住人つなぎ、街が劇的に変わったQURUWA(くるわ)エリアがアツすぎる 愛知県岡崎市
これまでのQURUWA戦略の動きを振り返ると、岡崎市の中心市街地は、かつては西三河有数の商業地域として繁栄したが、郊外の大型ショッピングセンターなどの台頭により、1990年代に衰退。2010年代には、ピーク時と比べて住民や労働者、事業者の数は3分の2に、商店は4分の1に減少していた。こうした状況に歯止めをかけるべく、公共空間の再整備を中心とする「乙川リバーフロント地区整備基本方針」が2014年に策定され、行政主導で進もうとしていた。
岡崎市まちづくり推進課の中川さんが、再整備の始まりのころのことを話してくれた。「きっかけは、前岡崎市長の公約に乙川を活用したまちづくりの推進が掲げられていたことです。QURUWA地区は、中心市街地にありながら公園や広場などの公共空間が50%以上を占めています。そこで、これまであまり活用されてこなかった乙川周辺の公共空間を活かして、ハード面の整備をしようというのが当初の戦略の軸でした。その後、乙川をはじめとする公共空間を地域や民間事業者の方々に活用いただけるように規制緩和を行いました。ハード整備のみで終わっていたら、現在のように活用されるような状況にはなっていなかったと思います。当時はハード面を整備すればまちが良くなるだろうと、行政としてはそう考えていましたね。今思うと正直危なかったです……」
籠田公園の遊具エリアには噴水もあり、10月頃までは午前中から夕方まで子どもたちの笑い声が響く。
「地元と行政が対立しないように」と連合会が発足
2016年に、籠田公園から乙川へと動線がつながる中央緑道の改修工事の予定が行政側から発表された。すると、目の前の状況が変わってしまうため、沿線に住む人たちから「私たちの暮らしはどうなるのか」と、不安や反対の声が上がるように。そこで立ち上がったのが、地元で不動産業などを営む会社の3代目、筒井健さんだった。
「説明会でいきなり『こう決まりました』と言われると、角が立って“地元 対 行政“のような構図ができてしまう。先に地元住民として自治会の代表者などが間に入れば、行政との関係が和らぎますよね。そこで、まずは地域主催の検討会を開き、詳しい内容を市役所の方が説明するという形式を取りました。そして、中央緑道周辺3町の町内会主催で『中央緑道検討会』が発足。その後、籠田公園の改修工事や桜城橋の新設についても内容を知りたいという声が上がり、周辺の町内会も合わせて籠田公園と中央緑道周辺の7つの自治会による『7町・広域連合会』ができました」と筒井さん。 ちなみに、筒井さんの会社が改修工事に関係しているわけではない。それでも、本業の傍ら自治会活動に尽力する理由をこう話す。 「岡崎の市街地は、戦後の焼け野原の中、祖父の代の人たちが頑張って復興させた街です。そんな思い入れのある地元が住みやすくなるように協力したいし、3代にわたって商売を続けてこられたので、自分にできることで街や人へ恩返ししたいという思いもあります」 QURUWA地区は、江戸時代から東海道の宿場町や岡崎城の城下町を基盤に発展し、岡崎市の中心地としてにぎわった場所でもある。 「昔からの商いを続けている家も多く、この街で商売の歴史を継いでいこうという思いや、みんなで集まって何かをしようとする素地があるので、地元の人を中心に団結しやすいことが功を奏したのかもしれません」
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