不安定な時代にこそ力を発揮する「金投資」…メリットを最大限にするポートフォリオの考え方
金は歴史的に価値が高く、通貨や株式のように経済や政治情勢によって影響を受けにくいという点から、不確実性の高い現代においても資産として投資家から注目を集めています。本記事では、菊地温以氏の著書『最強のポートフォリオをつくる金投資入門』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集し、金をポートフォリオに組み込むための重要な3ステップについて解説します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
金をポートフォリオにどうやって組み込むといい?
金をポートフォリオに組み込む際には、つぎの3つのステップを順に進めることが重要です。 (1)投資目的を明確にする まず、金投資の目的を明確にすることが必要です。金投資の特性やメリットを活かすためには、つぎのような目的が考えられます。 ・長期的なインフレ対策:インフレによる通貨の価値低下に対する保険として。 ・資産のリスク分散:株式や債券のリスクを緩和するための安定資産として。 ・安全資産の保有:経済危機や市場の不安定な時期に、信頼性の高い資産を確保するため。 一方、「短期的に大きなリターンを得る」という目的で金に投資する場合は、ポートフォリオの設計や資産配分のアプローチが異なります。そのため、資産配分を考える前に、まず投資目的をしっかりと定めることが重要です。 (2)資産配分を決める つぎに、自分の保有資産全体における金の割合を具体的に決定します。金投資を行う場合、一般的には資産の10%~20%を金に割り当てることが推奨されます。長期的なインフレ対策やリスク分散を目的とする場合の一例として、つぎのポートフォリオが考えられます。 ・例:Aさんのポートフォリオ(全資産100万円の場合) 株式:40万円(40%) 債券:30万円(30%) 現金・預金:10万円(10%) 金:20万円(20%) ・比較例:Bさんのポートフォリオ(全資産100万円の場合) 株式:50万円(50%) 債券:30万円(30%) 現金・預金:20万円(20%) つぎに、以下のようなシナリオで資産の変動をシミュレーションします。金融危機が発生し、株式と債券が▲50%、金が+30%、日本円の価値が米ドルに対して▲10%。 ・Aさんの資産変動 株式:20万円(▲20万円) 債券:15万円(▲15万円) 現金・預金:9万円(▲1万円) 金:26万円(+6万円) 資産合計:70万円 ・Bさんの資産変動 株式:25万円(▲25万円) 債券:15万円(▲15万円) 現金・預金:18万円(▲2万円) 資産合計:58万円 このシミュレーションからもわかるように、金をポートフォリオに組み入れているAさんは、Bさんよりも金融危機に対するリスクヘッジができており、資産全体の損失が抑えられています。 (3)投資手段を選ぶ 最後に、投資目的や資産配分にもとづいて、自分に合った金投資の手段を選びます。本章で紹介した現物購入、純金積立、投資信託、金ETF(上場投資信託)、金先物取引などの手段から、自分に最も適したものを選ぶことが重要です。 たとえば、Aさんがすでに十分な資産を保有している場合、20万円分の金の現物購入を一度に行うことができます。あるいは、定期的に金を購入したい場合には、純金積立によって少額を積み立てていき、最終的に20万円分の金を保有する方法もあります。 また、短期的に大きなリターンを狙う場合であれば、金先物取引を選ぶことも可能です。 いずれの方法を選ぶにしても、まずは自分の投資目的に合致しているかどうかを確認し、適切な手段を選ぶことが大切です。金投資を長期的に計画し、適切にポートフォリオを管理することで、リスクヘッジ効果を最大限に活用できます。
【関連記事】
- お願いですから戻らせてください…資産1億2,000万円で歓喜の早期退職を実現した59歳会社員、わずか3ヵ月後に元職場へ復職の直談判。発端はある日届いた「LINEの通知」【FPの助言】
- わたしだけでも東京に戻ります…。52歳・資産2,000万円の会社員、早期退職を決断し妻の夢だった「田舎暮らし」を実現したが…わずか2年後、まさかの事態に大後悔「移住なんてするんじゃなかった」【CFPの助言】
- ただ早く会社を辞めたかった、それだけなのに…。早期退職を夢見て資産2,000万円を貯めた54歳会社員、わずか半年で数百万円を失い涙「あまりに愚かでした」【FPの助言】
- もう疲れたよ…。仕事の重責に耐えかねた54歳エリートサラリーマンが「早期退職すれば3,000万円」の募集に飛びついた結果、半年で大後悔したワケ【FPの助言】
- 「新NISAなんてやるんじゃなかった…」老後資金不足で投資を始めた年金月13万円・元会社員65歳がスマホを握りしめ「後悔に震えた」ワケ【FPの助言】