【解説】「123万円」だと手取り増5000円にとどまるケースも…税制改正大綱が決定 負担増の議論先送り
住宅ローン減税…子育て世帯向け優遇措置を延長
住宅ローン減税などでは、子育て世帯向けの優遇措置を続ける。ローン減税では、年末残高の0.7%分を所得税などから差し引くことができ、残高には一定の上限が設けられている。 現在は、19歳未満の子を扶養している場合や、夫婦どちらかが40歳未満の場合、年末ローン残高の上限に500万円から1000万円が上乗せされることになっている。 また、子育てのためのリフォームをした場合、最大25万円を税額から差し引くこともできる。こうした優遇措置は今年末が期限だったが、2025年末まで1年間延長することにした。 ガソリン税については、1リットルあたり25.1円が上乗せされている暫定税率を「廃止する」と記したうえで、自動車関係諸税は「中長期的な視点から、車体課税・燃料課税を含め総合的に検討し、見直しを行う」とした。 防衛力強化の財源を確保するための増税は、法人税とたばこ税では2026年4月に開始する。法人税は、課税標準の税額から500万円を差し引いた額に4%を付加する「防衛特別法人税(仮称)」を新設し、たばこ税は、2026年度に加熱式たばこの税率を引き上げて紙巻きたばこにそろえ、その後、たばこ全体の税率を2029年4月にかけて3回に分け1本あたり0.5円ずつ引き上げる。一方で、所得税の増税開始時期を、今回は決めなかった。 高校生年代の子を持つ親などの税負担を軽くする扶養控除については、児童手当の高校生年代への拡充にあわせて縮小する方針だったが、結論を持ち越した。
「178万円を目指す」とうたうも…
「103万円の壁」をめぐり、大綱では、「123万円」への引き上げを掲げながらも「国民民主党の主張する178万円を目指す」と明記し、「引き続き関係者間で誠実に協議を進める」とした。 財源については、123万円への見直しでは「特段の確保措置を要しない」とする一方で、「今後、これを超える恒久的な見直しが行われる場合の財政影響分は、必要な安定財源を追加確保するための措置を講ずる」とうたっている。 自民・公明両党と国民民主党との話し合いは来週改めて行われ、年明け以降も、修正含みの異例の協議が続きそうだ。 コロナ禍以降、歳出圧力が一段と増しているなか、多くの分野で負担増をめぐる議論は先送りされた形で、自民・公明両党が少数与党となったことが大きく影響する改正内容となった。 (フジテレビ解説副委員長 智田裕一)
智田裕一
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