「手のふるえ」は薬で効果なければ外科治療…超音波で大幅改善
「手のふるえ」は、よく見られる症状だ。原因は、本態性振戦、パーキンソン病、脳卒中、甲状腺機能亢進症、薬の副作用、事故の後遺症、アルコール依存症など多岐にわたる。この中でも非常に多いのが本態性振戦。また患者数は本態性振戦に劣るものの、比較的よく知られているのが、パーキンソン病だろう。 いないはずの人が見える…「幻視」の背後に潜む「目の病気」 本態性振戦、パーキンソン病ともに、薬で効果が十分でない場合、外科治療という手がある。現在、保険適用で行われているのは、20年以上前から行われている「高周波凝固術(RF)」と「脳深部刺激療法(DBS)」、そして2019年から保険適用となった「集束超音波治療(FUS)」がある。 中部国際医療センター(岐阜県)の「ふるえ・パーキンソン病センター」では、最近FUSも導入。3つをすべて行う医療機関は全国でも少なく、ふるえは治らないとあきらめていた患者が遠方からも来院している。 同センター長で、約20年間、本態性振戦やパーキンソン病の外科治療にかかわってきた中坪大輔医師によれば「手術や治療はタイミングが重要」。外科治療を検討するタイミングとして次の項目を挙げる。 ・症状はあるが、薬が全然変わらない ・薬の効き目が悪くなってきた ・仕事や家事に支障が出てきた ・これ以上、薬を増やせないと言われた ・ふるえが全然良くならない ・外科治療は無理と言われている 「医師によっては、積極的に手術を勧めないケースがあります。症状に困っているのであれば、実際に治療をしている医師のところで相談をしたほうがいいでしょう」(中坪医師) 最新の治療法であるFUSは、ほかの2つの手術に比べて患者の負担が少ない。症状が軽く若い方が、治療による改善率が高いとも報告されており、まさに「タイミングが重要」となる。 中坪医師は、特に本態性振戦の患者から「薬以外で何かできることはありますか?」とも聞かれるそうだが、アドバイスしているのは「ペンなどは太めのものを持つ」「緊張すると震えが出やすいので、十分な睡眠をとる」「周囲のふるえへの理解。周囲の理解を得られることで、本人もふるえに対して気にしすぎることがなくなる」など。 「本態性振戦ではアルコール摂取でふるえが改善されることから、仕事などの前にお酒を飲む患者さんもいます。しかしこれはアルコール依存症につながりかねないので、決して勧めていません」(中坪医師) ふるえの診療科は脳神経内科・脳神経外科になる。