メーシーズ、利益見通しを下方修正-元従業員による経費隠しが影響
(ブルームバーグ): 米百貨店メーシーズは、利益見通しを下方修正した。同社は、元従業員による多額の経費隠蔽(いんぺい)を巡る調査が完了したことを明らかにした。
メーシーズの11日発表によれば、配送費に関する問題により、通年で粗利益と調整後1株利益に7900万ドル(約120億円)の影響が及ぶ見通し。メーシーズは配送費の問題について、元従業員1人が経費を意図的に隠していたことと関連していると説明した。影響分の大半は11月-1月(第4四半期)に計上される。
これを受け、メーシーズは利益予想を1株当たり2.25-2.50ドルに下方修正。8月時点ではレンジの上限を2.90ドルと予想していた。同社は粗利益率の予想も引き下げた。
メーシーズは、調査の結果、これまでに届け出た財務諸表への「重大な影響や訂正」はなかったと結論付けたと説明。調査では、現金紛失や業者への未払いがあったことを示す証拠は見つからなかったと改めて指摘。一方で、2021年第4四半期から今年の第3四半期にかけて約1億5100万ドルの配送費を隠蔽した元従業員による誤った会計処理を指摘した。
トニー・スプリング最高経営責任者(CEO)は、「われわれは調査を完了し、既存の管理体制を強化するとともに、再発防止を目的とした追加的な変更を実施している」と説明。その後、アナリストとの電話会見で元従業員について、単独で行動し、個人的な利益のために経費を隠蔽したわけではないと語った。
調査に詳しい関係者によると、この元従業員は当初、調査担当者に対し、配送費の計上にミスがあったと話した。最初のミスの後、元従業員はそのミスを隠すために意図的に誤った会計処理を行ったという。この関係者は、情報が公になっていないとして匿名を条件に語った。
エイドリアン・ミッチェル最高財務責任者(CFO)は電話会見で、「これは窃盗ではない」とし、「売上高への影響はなく、現金や在庫への影響もなかった。全ての業者に対し、支払いは全額行われた」と説明した。