ウクライナ戦争「1000日地獄」…「死傷者100万人、ロシア軍70万人」(2)
◆領土5分の1が奪われ、戦争被害額は1520億ドル ロシアの侵攻以降、ウクライナは撃退に総力を注いでいる。しかし兵力の優勢を前に出したロシアはじわじわと占領地を広げた。現在ロシアはウクライナの東部ドンバスのほぼ全域と南側アゾフ海沿岸全体を占領した。ロシアはウクライナの領土の5分の1を占領・合併したと主張している。これはギリシャの領土と似た広さだ。 ウクライナは8月、ロシア領土に対する最初の攻撃を開始し、ロシア西部クルスクの一部の地域を占領している。ここには最近、北朝鮮派兵軍約1万人が配置されるなど、ロシアの兵力およそ5万人がウクライナ軍を撃退するために攻勢を加えている。 両国の経済も崩れた。ウクライナの経済規模は2022年比で3分の1規模になったと、世界銀行は伝えた。世界銀行と欧州委員会、国連、ウクライナ政府が実施した最近の評価によると、昨年12月基準でウクライナの戦争被害額は1520億ドル(約24兆円)。再建および復旧費用は4860億ドルと推算される。これは昨年のウクライナの名目国内総生産(GDP)の2.8倍だ。 ◆米国の軍事支援、欧州9カ国より多い 現在ウクライナは国家収入の大部分を国防費に投じている。米国と欧州国家の財政支援に依存し、年金と公共部門の賃金、その他の社会支出に対応している。ウクライナ議会の予算委員長は「戦闘費用は毎日1億4000万ドル」と明らかにした。ウクライナは来年も約2兆2000億フリヴニャ(約8兆2100億円)が防衛に投入されると予想した。 しかし来年はウクライナに対する西側の支援が大幅に削減される可能性が高い。最大支援国の米国は来年1月20日にトランプ氏が大統領に就任する。トランプ氏はウクライナに対する支援に否定的であり、現在ロシアが占領した領土を国境と認定する終戦案に関心を持っているという。 2022年2月から今年8月まで米国がウクライナに支援した軍事支援総額は611億ドルと、欧州9カ国の支援額を合わせた金額505億ドルより多い。 欧州内の最大支援国ドイツはすでに来年度予算でウクライナに対する軍事支援を現在の80億ユーロ(約1兆3100億円)から40億ユーロに削減する案を承認した。来年は戦争が終わると予想したと解釈される。 来年1月のトランプ氏の就任でロシアとウクライナの平和交渉が進むという見方も強まっている。ウォールストリートジャーナル(WSJ)は17日、「欧州主要国の間で平和交渉の最も希望があるシナリオとして、ウクライナが領土の一部を渡しても独立国家として主権を維持し、ロシアの完全な勝利を防ぐという見方が増えた」と報じた。ウクライナがロシアに奪われた領土をすべて取り戻して戦争で勝利するという計画は現実性がないということだ。 ウクライナ内部でも戦争疲労度が高まっている。キーウ国際社会学研究所が先月実施した世論調査によると、回答者の32%が終戦ののために一部の領土を放棄することができると答えた。これは1年前(14%)に比べて倍以上高い数値だ。一方、ゼレンスキー大統領は「領土の譲歩はない」という立場を固守している。