ドラマ制作における「生」と「技術」の融合――カメラマン・関毅が見つめた『海に眠るダイヤモンド』の世界
関氏は、自身の中に画角を決める基準はないと語る。「俳優さんの芝居や、そのシーンが持っている意味を自分で解釈しながら決めていて。いい意味でセオリーというものが自分の中にないので、縛られることなく撮ることができています」。 そんな関氏は、神木が撮影現場で見せるアドリブに楽しみを感じている。「例えば第1話で、履いていた靴下を投げる動きなどは、”おお、きたな!”と内心盛り上がりながら撮影していました。撮影現場で即興的に生み出すセッションが一番楽しいですね」と、俳優と呼吸を合わせる。誰よりも近くで俳優の芝居を見つめ、時には俳優の芝居にグッとくることもあるというる関氏だが、撮影中は「自分が一番冷静でいることを心掛けている」と口にする。 「塚原監督はドライから芝居に感情移入して、泣いてしまうタイプなのですが、それを引っ張り戻すのが僕の仕事。塚原監督が芝居を見て『こうしたい』という希望を言ってきても、それが流れとしてピンとこない時に『これを見せないといけないんじゃないの?』と伝え、軌道に戻すこともあります」と、長年のタッグでバランスを保っているのだ。 関氏は最後にこう締めくくる。「俳優さんたちの気持ちが動いている瞬間を“生っぽく”撮っていくことで初めて視聴者の皆さんの心を動かすことができると思いますし、この塚原組の醍醐味でもある。それを切り取るのが僕の仕事なんです」。 ドラマ制作の現場で磨き上げられた技術と信頼関係が、俳優たちの芝居を引き立て、視聴者の心を動かす瞬間を生み出している。本作で描かれる物語の深みは、関氏をはじめとするスタッフ陣の努力と情熱の賜物。リアルとフィクションの境界線を揺さぶる塚原組の挑戦はこれからも止まることはないだろう。
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