ドラマ制作における「生」と「技術」の融合――カメラマン・関毅が見つめた『海に眠るダイヤモンド』の世界
ドラマ制作の現場で、俳優たちの繊細な芝居を余すところなく映像に収めるカメラマン。その腕前と表現力が、作品の質を左右するといっても過言ではない。日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』ではカメラマン・関毅氏が、その卓越した手腕で1955年からの端島と現代の物語を鮮やかに映し出している。今回は、関氏の視点から見た撮影の裏側や技術、作品に込めた思いをひも解く。 【写真を見る】ドラマ制作における「生」と「技術」の融合――カメラマン・関毅が見つめた『海に眠るダイヤモンド』の世界 ■『VIVANT』との違いから見えるVFXの可能性…制約を乗り越える映像表現の工夫とは 『夜行観覧車』(2013:セカンドカメラマン)、『Nのために』(2014:チーフカメラマン)などから、塚原あゆ子監督と新井順子プロデューサーの作品を数々担当してきた関氏。『下剋上球児』(2024)では、ワイヤーカメラを使用した球児たちの躍動感ある試合シーンを生み出したのも記憶に新しい。そんな関氏が今回挑むのは1955年からの活気ある端島を切り取ること。 当時の風景を再現するため、本作ではVFXをはじめとする最新技術が駆使されており、関氏もその技術と向き合いながら撮影を進めている。「映画『ラストマイル』でご一緒したVFXの早野海兵さんと必要な素材について綿密に打ち合わせを行い、CG部の宮崎浩和さんとは予算や技術的な限界について話し合いながら進めました」と、制作過程を明かす関氏。 これまで連続ドラマでは、コストや制作時間の制限により、VFXありきの制作を行うのは困難だった。しかし、本作ではそれを実現するため、事前にVFXを使う部分を決めて、それに基づいて画角を設定するという手法が採られている。 「VFXを使用する画角をなるべく一定にすることで、予算を削減しながらVFXを活用しています。僕らカメラマンは後から調整しやすいように、なるべく同じ画角で撮るのみ。それでもしっかり画変わりして見えるのは、塚原監督の編集の妙です。やみくもにVFXの映像を使用するのではなく、スケール感を表現するのに効果的な部分でのみ使われています」と、塚原監督の編集技術にも言及する。 また、同じVFX技術を用いた日曜劇場『VIVANT』(2023)との違いについては、「『VIVANT』は映像に後からVFXをはめていますが、本作ではVFXの世界にリアルの映像を配置するようなイメージです」と、解説した。