内田篤人のW杯代表復帰への思い。西野ジャパン誕生はどう影響するか?
聞き手の意図を察するように、鹿島アントラーズの右サイドバック・内田篤人は、悪戯小僧のような笑顔を浮かべながらポツリとつぶやいた。 「何か監督が代わったらしいし」 2月25日の開幕戦以来、48日ぶりに戦列復帰した14日の名古屋グランパスとのJ1第8節を、勝利で終えた直後のカシマサッカースタジアムの取材エリア。質問のテーマがアントラーズから、日本代表に移ろうとした瞬間だった。 ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の電撃解任が、日本サッカー協会(JFA)から発表されたのが9日。後任に決まったJFAの西野朗・前技術委員長の就任会見が12日に行われてから、初めて迎えるリーグ戦で内田は右太もも裏の違和感を乗り越えてピッチに戻ってきた。 しかも、西野新監督は選手選考の基準について「過去の経験、実績にプラスして、ここ1ヶ月の状況を正確に見極めたい」と明言している。ワールドカップ代表に2度選出され、古豪シャルケのレギュラーとしてブンデスリーガ1部やUEFAチャンピオンズリーグの舞台で戦ってきた内田は、経験や実績は十二分に満たしている。 残された条件はコンディションのみ。ゆえにグランパス戦で先発し、後半32分までプレーした結果を受けて、メディアから「(リーグ戦が中断するまでの)あと1ヶ月、ガンガンと」と聞かれた直後に飛び出したのが冒頭の言葉だった。 「オレはどちらかと言うと、試合に出ないと話にならないので。みんなとはやっぱり違うからね。それで(自分を)見てくれれば、というだけなので」 週2試合の過密日程が続いていく今後へ向けて、静かなる闘志をのぞかせた内田は、約7年半ぶりにアントラーズへ復帰した今年1月以来、日本代表に関する質問をこんな言葉でかわしてきた。 「よく聞かれるんですけど、代表にはだいぶ入っていないので。オレが何か言える立場でもないし、鹿島に戻ってきたからには、鹿島のために一生懸命働きます」