内田篤人のW杯代表復帰への思い。西野ジャパン誕生はどう影響するか?
最後に国際Aマッチのピッチに立ったのは、ハリルホジッチ前監督が指揮を執って2試合目となる、2015年3月31日のウズベキスタン代表戦までさかのぼる。直後の同6月に痛めていた右ひざの膝蓋腱にメスを入れ、過酷で孤独なリハビリの日々をスタートさせた。 ヨーロッパがシーズンオフに入ると、古巣アントラーズへ戻ってリハビリを継続させた。ハリルホジッチ前監督も気に留めて、復活を待っていたのか。2016年5月下旬に千葉県内で行われた、ヨーロッパ組を対象とした日本代表候補合宿に内田を招集している。 「グループに加わることでいい雰囲気になるし、彼らもウチダが戻ってきたことで喜んでいる」 全体練習に加われないことを承知のうえで、それでもハリルホジッチ前監督が内田を呼び寄せた理由を、技術委員長に就任した直後の西野氏も共有していた。 そして、順調な回復を遂げるもシャルケで出場機会を得られなかった内田は昨夏にブンデスリーガ2部のウニオン・ベルリンへ、さらに今年1月にはアントラーズへ完全移籍した。 「皆さんは知らないと思うけど、オレはドイツでずっと練習もしていたし、右ひざがどうのこうの、というのはまったく問題ないと思っています」 長期離脱を強いられる原因となった右ひざの具合を聞かれるたびに、時には語気をやや強めながら内田はこう語ってきた。それを証明する場となったピッチで、実は内田と西野氏は邂逅している。 上海緑地申花(中国)をホームに迎えた、2月14日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループリーグ初戦。内田は右サイドバックで先発フル出場し、相手GKの美技に防がれたものの、後半終了間際には果敢な攻めあがりから強烈なシュートを放っている。 「体もそれほど重くなかったし、どんどんよくなっている気がする。ゲーム体力やボールタッチはある程度戻ってきたけど、オレの場合は1試合だけじゃ復帰だなんて言えないからね」 大きな手応えをつかんだ、アントラーズ復帰後では初めてプレーした公式戦を、技術委員長だった西野氏が視察に訪れていた。スタジアムを後にする際には、長いブランクを乗り越えてフル出場した内田の姿に思わず表情を崩している。