【コラム】イントゥミスチーフ産駒が稼いだ51億円、米種牡馬レコード塗り替えた
6年連続で米国種牡馬チャンピオンを確実にするイントゥミスチーフ(牡19、父ハーランズホリディ)の勢いが止まりません。 年末まで1週間を残す23日現在で、産駒が稼いだ獲得賞金は米国種牡馬レコードを塗り替える3417万1649ドル(約51億2600万円)。ライバルの追随を許していません。 2歳G1のキャッシュコールフューチュリティなど3勝で引退したイントゥミスチーフは09年にケンタッキーのスペンドスリフトファームで種牡馬入り。初年度1万2500ドル(約188万円)からスタートして、22年からは米国種牡馬で最高種付料(ガンランナー、ジャスティファイと同額)となる25万ドル(約3750万円)で推移しています。 今でこそ押しも押されもしない存在となったイントゥミスチーフですが、種牡馬入りした当初は、売り込みに苦労してスペンドスリフトファームは初年度から2年連続して交配した生産者に対して無料で永久種付権利をプレゼントする、今となっては考えられない“スペシャルオプション”をつけました。 この恩恵を受けた生産者の数は明らかにされていませんが、初年度61頭、2年目が44頭だったことから、最大で44人(牧場)が“かけ”に勝利したことになります。 イントゥミスチーフの16シーズンの累計交配料は162万8500ドル(約2億4400万円)。無料特典を得た生産者は最初の2シーズンの交配料(計2万3500ドル、約353万円)を差し引いて最大で160万6000ドル(約2億4100万円)の種付料がただになった上に、(高額で取引されることの少なくない)産駒の売却益も重なって、その収益は莫大(ばくだい)です。 イントゥミスチーフの現役産駒には11月のBCジュベナイルを逃げ切って来春のケンタッキーダービーの有力候補となっているシチズンブルや、ドバイWC連覇のかかるローレルリバーを筆頭に手駒は豊富。質量ともに他を上回り王座は揺るぎそうもありません。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)