広島激辛つけ麺ヒントに鬼ヒット 神楽門前湯治村の夜叉うどん(広島県安芸高田市)【けいざいトリビア】
地元産のシャキシャキの青ネギに豚ばら肉がのり、唐辛子の利いた赤いスープにツルンとしたうどんが絡む。神楽の里、神楽門前湯治村(広島県安芸高田市)が1998年の開業に合わせて生んだ名物。着想を得たのは広島で当時、はやり始めた「つけ麺」だった。 神楽門前湯治村はこんなところ 「私、つけ麺の大ファンで」と初代社長の溝本郁夫さん(68)。オープン前に湯治村ならではの一品を思案中、つけ麺に似て非なる「辛くて温かくてうまいもの」とのイメージが固まったという。 麺は神楽大会や秋祭りで振る舞われるうどんとし、具材は地元の青ネギ、相性の良かった豚肉を選んだ。通い詰めた店のたれを当時の料理長と研究し試作を重ねた。 神楽の鬼から名付けた「夜叉(やしゃ)うどん」の店舗提供は市内限定。今は7店を数える。市外から打診はあるが「安芸高田に来てほしいとの開業当初からの思いで…」と江種恭匡取締役統括部長。 一方で今、夜叉うどんは全国を駆ける。新型コロナウイルス禍の休業で苦境に陥る中、冷凍の商品を開発。これが受け、2021年の販売開始から5万食を超える「鬼ヒット」になった。 もうすぐ神楽の秋。夜叉うどんが最も似合う季節である。
中国新聞社