ソフトバンクの孫オーナーが金満野球の批判に反論!
孫オーナーの説明に嘘はない。ソフトバンクが球界に参入した2004年は、球界再編の大きな波に飲まれた年。オリックス・近鉄の合併騒動に端を発した球界再編問題時にパ・リーグの経営の惨状が明らかになった。 どのチームも、赤字部分を本社からの広告費という名目で補填して、決算をトントンに近く見せていた。楽天が新チームとして参入。日ハムの北海道、楽天の東北、ソフトバンクの九州という地方戦略が、うまく運び逆に巨人の視聴率と人気におんぶにだっこだった巨人至上主義の球界のビジネス構図が破壊され、現在では、パ・リーグの経営も、数球団が好転し始めている。 後述するが、赤字の経営が当たり前だったパ・リーグの土壌にあっても、ソフトバンクは積極的な投資を怠らなかった。それがポジティブスパイラルを生み出すことになるのだが、孫代表のチーム経営理念は、メジャーリーグのそれに似ている。 メジャーでは、球団の黒字はファンに還元する、すなわち、ファンを喜ばせる強いチームにするための補強費、選手の人件費に積極的に投資するという考え方が主流だ。球団経営が赤字ならまだしも、黒字なのだから、エンターテイメント事業であるプロスポーツのオーナーとしては、ファンへチーム強化という形で還元するのが義務だという経営理念である。つまりソフトバンク本社の豊富な財力にものを言わせた補強ではなく、球団経営で生み出した利益を還元した補強であって、金満と呼ばれる筋合いはない、と強調するのだ。 ソフトバンクは、Bクラスに沈んだ2013年オフに大型補強に乗り出し、FAで日ハムの鶴岡慎也捕手、中日からローテーション候補の中田賢一を獲得。メジャーからも、岡島秀樹、阪神と契約が切れたスタンリッジを戻し、オリックスと契約の切れたイ・デホを獲得した。新外国人として、のちにストッパーとして定着するサファテも取って戦力を充実させ、2014年シーズンにリーグ優勝、日本一を手にした。 昨年オフには、さらに松坂大輔をメジャーから3年12億円の契約で凱旋させ、外国人の投手枠が一杯だったにもかからず、巨人以上の条件で、バンデンハークを争奪戦の末、獲得した。このオフには、海外FAを宣告した松田宣浩を5年の巨大契約で引き止め、和田毅を5年ぶりにメジャーから凱旋帰国させている。