「飯田商店」は、こうして私の生涯かけがえのない「愛しい」ラーメンとなった
券売機で買ったのは「塩らぁ麺」で、目の前に現れた「塩らぁ麺」には、なんと「海苔」が添えられてなかった! 続いて運ばれてきた、同席してくれた友人が注文した「醤油らぁ麺」には、「海苔」が添えられていて、なんと、その「海苔」がどんぶりの縁とどんぶり中央に盛り付けられたねぎとの橋渡し状態になっていて、スープの湯気には当たるものの、浸かってはいないではないか! 飯田さんの「らぁ麺」美学、哲学、ここに極まれり! と、「海苔」へのリスペクトに、食べもしないのに感動してしまったのである。
もちろん私が食べた「塩らぁ麺」も、「美学」と「哲学」が詰まったものだった。盛り付けの色彩は限りなく淡く、「塩」であるのに、はじめのひと口から「塩辛さ」をまったく感じさせずに、「塩」の風味、つまり、「海の香り」を漂わせていたのである。それに、チャーシューの脂身の美味さが溶け合い、それはそれは「極上の一杯」だった。
三度目は今年2月。再び「塩らぁ麵」を注文した。昨年暮れに食べた「塩らぁ麺」の確信を持ちたかったためである。運ばれてきた時、「チャーシューは天城黒豚です」と添えられた。
「天城黒豚」? 私が敬愛する金子渉さんの豚? 東京・南青山のバスク料理が売り物の「ローブリュー」で食べた「天城黒豚のロースト」をきっかけに知った「天城黒豚」は、「とんかつ」になっても日本最高峰の豚だった。我が家でいただく「しゃぶしゃぶ」も「ロースハム」も「ベーコン」もすべて金子さんの「天城黒豚」で、食べながらいつも考えていることがあった。「天城黒豚」の内臓と豚骨はどこへ行くのだろうかと。その「豚骨」の行き先が「飯田商店」だったのである。 スープの素になる「丸鶏」は、名古屋コーチンとか比内地鶏とか、選ばれる銘鶏があるが、「豚骨」の原産選びの話はほとんど聞いたことがない。
「飯田商店」の「らぁ麺」を支えているのが、金子さんの「天城黒豚」であることが分かって、ついに、私の生涯かけがえのない「愛しい」ラーメンとなったのだった。 追記:近々私のYouTube「MASUHIROのうまいのなんの!」で「飯田商店」をご紹介いたします。