「ミスをした部下」の成長を促す“叱り方”のキモ、ポイントは「3つのモード」の上手な使い分け
■叱るときの「判断基準」を明確に持つ 心理学者の伊東明氏の著書『ほめる技術、しかる作法』(PHP新書)では、叱るときの判断基準をつくっておくことや、叱った相手にも考えてもらうようにすることと共に、3つの叱り方(怒り、冷静、優しい)を使い分けることなどが推奨されていました。 たとえば、叱るときの判断基準は人それぞれでしょうが、同書では、こんな例が挙げられています。 「あなたが部下をしかるとき、しかる目的はなんですか。どんなときに、なんのために、しかっていますか」
私であれば、この質問には次のように答える。 「ビジネスにおいては明確な目標が設定されています。その目標を達成するために、部下の言動や行動を修正してもらうことが目的です」 あるいは技術部門で働いている人であれば、こんなふうに答える人もいるだろう。 「技術者として一定レベルに達するまでには、最低限身につけなくてはいけないスキルがあります。そのスキルを身につけさせるために、部下が間違った方向に進もうとしているときには、方向修正を図ることを目的にしかります」
■遅刻した部下を叱る際の3つのモード また、伊東氏の言う3つの叱り方というのは、次のような感じです。 たとえば、遅刻した部下を叱るという場面で考えてみよう。 「こんな時間に来て、なにをやっているんだ、おまえは!」というのは怒りモード。 「なぜ遅刻をしたのか、ちゃんと理由を教えてくれるか?」というのは、冷静モード。 「どうしたの? 遅刻するなんて、なにかあったのか?」というのが優しいモードである。
私もやむを得ずスタッフを叱るときは、なぜ叱るのかという理由を明確にした上で、スタッフに寄り添った叱り方をしています。 腹が立ったから叱るのではなく、あくまでスタッフの成長のために叱るからです。 伊東氏の文章を膝を打つような思いで読んで、私の叱り方に対して専門家からお墨付きをもらったような気がして嬉しかったのですが、これらを完全に実践できているかは、スタッフたちに聞いてみないとわかりません。 せめてスタッフたちへの本気の愛情が伝わっているといいのですが……。