「ミスをした部下」の成長を促す“叱り方”のキモ、ポイントは「3つのモード」の上手な使い分け
「やむを得ずスタッフを叱るときは、なぜ叱るのかという理由を明確にし、スタッフに寄り添った叱り方をしています」と語る、荒木電通株式会社代表取締役の荒木俊氏は、「失敗を良いチャンスと捉えて、足りないところがあれば補えばいいし、良いところはさらに伸ばして大きく成長してほしい」とも言います。 荒木氏が考える、大きな失敗をした部下やスタッフを前向きに成長させるための「叱り方」のポイントを、同氏の著書『失敗したらガッツポーズ』から、一部を抜粋・編集して解説します。
■叱るときは厳しく。その理由もきちんと話す 外科医の世界で使われる言葉で、「鬼手仏心(きしゅぶっしん)」という言葉があるそうです。手術で患者さんの体にメスを入れる行為は鬼のように怖いけれど、内面では仏のようにその人の命や健康を思っているからこそできる――といった意味です。 私がスタッフに接するときも常に、これを心がけています。 正直、私はスタッフに対してかなり厳しく接したこともありますが、それも相手のためを思ってやってきたことです。厳しくても、本気で伝えたときにはその人が変わる瞬間が必ずあります。 だから、私も時に「鬼」になっています。
その代わり叱るとき以外には、一般的な社長と比べても優しいし、ほめるほうだと思います。業務と関係ない場面では仕事の話は持ち出しませんし、その点のメリハリは利いているのではないでしょうか。 もちろん、その人のことを真剣に思っているからといって、どんなに厳しく叱ってもいいわけではありません。相手が叱られた理由を理解していなければ、嫌な感情や反発心が残って、結果的に人間関係が悪化してしまいます。 何よりも、その人がパワハラだと感じている時点で成長は止まりますし、同じミスを繰り返すことでしょう。だから私は、叱る理由をしっかり伝えています。
□「なぜ自分が怒っているか?」 □「どうするべきだったのか?」 □「なぜ、そうするべきなのか?」 ただし、ここで終わってしまうと、対話後の印象が「社長に詰められただけ」になりかねませんし、スタッフが納得したとしても次の行動にはつながりにくい。そこで、話の中で相手が感じ取ったものを探りながら、次のことまで一緒に考えていきます。 □「何が課題なのか(足りないのか)?」 □「これから何ができるのか?」 □「今、この環境の中で何を学んでいくか?」