地震大国・台湾の揺れは「フィリピン海プレート」の影響 日本南西部で起こる地震の“きょうだい”
能登半島で元日に大地震があったと思ったら、今月3日には台湾で大地震が起きた。今年は「地震の当たり年」かもしれない。 台湾地震M7.2と日本列島北から南まで大揺れの「不気味な共通項」 台湾の東岸・花蓮沖で地震が起きた地震はマグニチュード(M)7.4。ビル2棟を倒し400人以上の行方不明者を生んだ。 1999年の台湾中部の内陸で起きた集集地震(M7.3)で死者行方不明者2500人を超える犠牲者を生むなど大きな被害が出た。 今度の地震では集集地震以来の揺れだったという報道もある。この地震による現地での震度はM7と報じられている。震度としては一番強いものだ。 6年前の2018年夜にも大地震が起きた。花蓮市では4棟の十数階建ての高層ビルが大きく傾いた。死者17名、負傷者は280名を超えた。このほかにも、2年前の2016年に台湾南部でM6.4の地震があった。マンションが倒壊するなどして花蓮では100人以上が死亡している。 花蓮をはじめ台湾では地震が多いのだ。じつは台湾で起きている地震は、日本の南西部で起きる地震の“きょうだい”である。フィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込むことによってひずみが溜まっていき、やがて起きてしまう海溝型地震だ。 その意味では、日本で発生が恐れられている南海トラフ地震や首都圏直下型地震と同じものなのである。台湾中部では1999年の集集地震(M7.3)で死者行方不明者2500人を超える犠牲者を生むなど甚大な被害が出た。この地震のあと、被害の様子を見て、それまでは震度6までしかなかった震度階に台湾気象庁は7を足した。 台湾では日本と同じ震度階を使っている。厳密に言えば、震度6までは日本でかつて使われていた0から6までの震度階で、その後に集集地震以来独自に震度7を足したものだ。 日本は大被害を生んだ福井地震後の1949年に震度7を加えた。その地震は福井地震(1948年)。Mは7.1。川の柔らかい堆積物がたまった福井平野の北部では98 から100%もの家が倒壊してしまった町や村もあった。 一方、世界の多くの国では「国際震度階」を使っている。これは12段階で、日本の震度階とは違う。 国際震度階はメルカリ震度階とも言われ、1884年にイタリアの火山学者ジュゼッペ・メルカリによって考案されたものだ。 地震としての大きさを表すマグニチュードは国によらず共通だが、震度はその場所での揺れの強さを示す数値で、国によってスケールが違う。 もともとは日本の植民地だった台湾と朝鮮に日本の震度階を「押しつけ」た歴史がある。このため、台湾と韓国は戦後も長らく、日本と同じ震度階を使っていた。しかし、韓国は2001年に日本式の震度階をやめて1から12までの12段階の国際震度階にしている。(島村英紀/地震学者)