じつは、小学校で習っている…分数を小数にしたときの「止まる」と「続く」にひそむ「数学センス」
「数学的なセンス」とはなんでしょうか。 数学の問題を「正確に速く解く」うえで,計算技能に習熟することは大切ですが,「数学センス=計算力」では決してありません。数学的なセンスとは,数学を楽しみ,問いを掘り下げ,「数」や「図形」の世界についてより深く理解するための道筋を自らたどることができる能力です。 【画像】中学数学で十分…「フェルマーの最終定理」を座標に取ったら、面白い形に 〈理系に強い子ども〉に育てたい親御さんが増えていますが,「数学センス」を磨くことがその近道です。そしてそのエッセンスは,じつは「中学数学」に詰まっているのです! 中学3年間で学ぶ重要ポイントを抽出し,教科書では習わない視点でとらえなおす「新しい時代の新しい勉強法」をご紹介する『中学数学で磨く数学センス』から,数学を楽しみ,「数学センス」を磨くためのポイントをご紹介していきましょう。今回は,分数の小数表示から「数学センス」を磨くポイントを解説します。 *本記事は、『中学数学で磨く数学センス』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
「不規則に数が並び続ける小数」は、なぜ現れないのか
分数を小数で表すことは小学校で学習する。 「分数の小数表示」によって,1/4=0.25のようにあるところで止まる小数として表されるときもあれば, 1/3=0.333…のように3がずっと続いていくときがあることを知る。前者を「有限小数」といい,後者を「循環小数」という。 これから数回にわたり,分数の小数表示についてより深く探究してみよう。そこでは,中学校で学ぶ「素因数分解」が重要な役割を果たすことに気づくはずだ。 まず,分母が2~9 で分子が1 の各分数を小数で表してみる。 1/2=0.5, 1/3=0.333…, 1/4=0.25, 1/5=0.2,1/6= 0.1666…, 1/7=0.142857…, 1/8=0.125,1/9=0.1111… 1/3では3が繰り返され,1/6では6が繰り返され,1/7では142857が繰り返される。このように繰り返される数の列を「循環節」という。