じつは、小学校で習っている…分数を小数にしたときの「止まる」と「続く」にひそむ「数学センス」
「循環節の長さ」に注目!
1/7の場合は,142857142857が繰り返されると見ることもできるが,循環節は最も短い繰り返し部分を指し,循環節に現れる数字の数を「循環節の長さ」という。1/6は循環節の長さが1であり,1/7は6である。 分数を小数表示した際の循環節にどんな法則があるのかを探るために,分母が10までの真分数(分子が分母より小さい分数)を実際に小数で表してみよう。計算機に任せてもよいが,手で計算してみても面白い。 なお,本記事を含めてここでは原則として,分子が分母より小さい真分数のみを対象として扱う。 「分数の小数表示」の探究で磨くポイントとしては、 手計算で真分数の表を効率的に作る方法はあるか?有限小数になる分数とは? また, どんな分子に対しても有限小数になる分母は存在するか?循環小数になる分数とは? また, 循環節を「図」にすると何がわかるか?どんな分母でも, 分母が同じなら循環する小数は同じ長さの循環節をもつか?循環しない数が含まれる分数と, すぐに循環する分数の違いは?「循環節の長さ」にはなんらかの法則が存在するか?分母の大きい分数を考えれば, いくらでも長い循環節をもつ分数が存在するか? といった点が挙げられる。 まず,分母が10までの真分数を表にして,なにか特徴があるか,見てみよう。
循環小数と有限小数にわかれる
分母が10までの真分数を表にしてみよう。表中の下線部は循環節であることを示している。 なお,拙著『中学数学で磨く数学センス』では,分母が25までの真分数を表にしてあるので,詳しくはそちらをご参照いただきたい。 これらの表からは,真分数を小数表示した際に,「いつまでも続く循環小数」と,「正確な小数で表現できる有限小数」とに分かれることがあらためて確認できる。
小数表示でわかる特徴と謎
また, 1/3(0.333…)のように小数第1位から循環する分数と, 1/6(0.1666…)のように小数点以下の序盤に循環しない部分のある分数があることもわかる。1/3のように循環する部分が1つの数(3)であるものもあれば, 1/7のように数が6つ(142857)で循環するものもある。 他にも特徴のある数がないか,探ってみてほしい。 ところで,面白いことに,円周率(3.14159265358…)のような,いつまでも不規則に数が並び続ける小数は見当たらない。その理由がわかるだろうか。 中学数学で磨く数学センス 数と図形に強くなる新しい勉強法 中学3年間で学ぶ重要ポイントを抽出し、教科書では習わない視点でとらえなおす「新しい時代の新しい勉強法」──。「数を図形でとらえ」「図形を数でとらえる」=「数学する力」が誰でも身につく!〈理系に強い子ども〉に育てたい親世代へのヒントも満載!
花木 良(岐阜大学教育学部准教授)