図書館のあるシェアハウス。ご近所さん、夢追い中の人、疲れた人などが多様に学び・癒やされる場所「Co-Livingはちとご」管理人・板谷さんに聞いた 茨城県水戸市
回復には、ふらっと入れて、距離を保てる場所が必要
まちライブラリーの仕組みを使った私設図書館「はちとご文庫」は、引越し先で再開し、今では、訪れた人が持ち寄った本で少しずつ蔵書が増えている。
「本があると、来る言い訳にはなっているんじゃないかな」(隼さん)。
常連さんがお店番することも。
ある時、はちとご文庫に、近所の引きこもりの女性がふらっと訪れた。隼さんや他の人が思い思いに作業したり、本を読んでいる空間で、3~4時間ソファでひとり本を読み、「また来ます」と帰っていく。ふとしたきかっけでおしゃべりするようになり、次第に打ち解け合い、ついには「はちとご文庫まで歩く日記」というZINEを発行。今では、はちとご文庫の常連さんのひとりだ。
「地域活性化の取り組みって、元気な人が集まるのが前提なのかな、と時々思います。でも、まちには元気じゃない人ももちろんいて、そういう人にも開いた場でありたいと思っています。ここにはちょっと元気じゃない人も来たりしますが、僕が躍起になってどうこうしようとはあまりしませんね。相談されたら一緒に考えるけど、こちらからは。元気がなくてもふらっと入れて、人といい距離感でいて、徐々に、自分の本来のありように戻っていけるような場になればいいなと思っています 」(隼さん)
「はちとご」は、元気じゃなくても居られる場所
「はちとご」がスタートした時から隼さんと一緒に暮らしてきたむらたゆうきさん(映像クリエイター・24歳)も、「はちとご」で「回復」したひとりだ。 「『はちとご』は、一般的な世間のシェアハウスのイメージと乖離がある気がします。シェアハウスっていわゆるパーティ好きみたいな人がいっぱいワーッていそうなだと思っている人もいると思うんですが、『はちとご』の場合は、一見そうは見えなくても寂しそうな人、人生に疲れている人が多いような気がしてます」(むらたさん)
むらたさんは、インターンのため、茨城から東京に出て、合わない仕事を続けたことで、落ち込んでしまい、とても辛い時期があったという。東京から帰って、ふさぎこんでいたむらたさんを心配した隼さんたちは、ある日、むらたさんの部屋に勝手に乗り込んで餃子を焼き始めたという。 「弱ってるときって、きっかけがあると、精神的にすごく距離が縮まると思うんです。それで、家族に近い感覚が上がりました。弱い面も見せていいんだって。ここは、すごく居心地がいいです。2年間ぐらい、全然、違和感なく暮らしています。実家にいるのとあまり変わらないし、隼さんは、親っていうよりは兄弟が増えたみたいな感じです。役職的には管理人なんですけど、お兄ちゃんが一番イメージ近いのかなと思ってますね」(むらたさん)
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