図書館のあるシェアハウス。ご近所さん、夢追い中の人、疲れた人などが多様に学び・癒やされる場所「Co-Livingはちとご」管理人・板谷さんに聞いた 茨城県水戸市
忘れられない思い出は、鍋パーティのこと。寒い日に「鍋が食べたい。誰かつくってくれないかな」とつぶやいた菱田さんに、隼さんは、「自分で声かけてやっちゃえばいいんだよ、そういうのは」と声をかけた。 「今までやってもらうのが当たり前だったので、周りの人を巻き込んで、何かをやったのは初めて。新しいことをやるハードルが低くなった感覚はありました。今は、ちゃんと周りを説得して、努力をすれば、全て叶えられるわけじゃないけど、返ってくる分もあるのかなと思っています」(菱田さん)
学びや気づきがあって回復できる場所でありたい
「はちとご」には、地元の大学生や社会人らが暮らし、近隣の人のほか、隼さんを訪ねてさまざまな年代の人がやってくる。
隼さんがどんな思いで「はちとご」を立ち上げたのかをたずねると、意外な答えが返ってきた。 「地域活動と見られることもありますが、自分としての軸は『地域』というより『人』。ただその人が地域にいるから、結果的に地域活動っぽく見えるのかもしれません。また、『はちとご』は僕にとって『やりたいこと』ではなく『見たい景色』だと思っています。みんなが楽しげにしていて、学びや気づきがあって、回復できる場所。誰かが自分から何かを『やってみたい』と言って、それが形になるのを見ているのが好きです。その景色を作るのに、ぼくが手を出す必要があるなら喜んで!というスタンスです」(隼さん)
引越し前の「はちとご」で行われた絵本イベントの風景。
勝手に楽しんで勝手に学べる状態を構築する
隼さんの本業は、サッカークラブ「水戸ホーリーホック」のアカデミーコーチ(子どもたちのコーチ)。日々、一緒にボールを蹴りながら、子どもたちに向き合っている。 「場づくりをするときの理想は、ぼくがいなくてもいい状態にすること。『自分で考えさせたいんですけど、どうすればいいですか?』と聞かれることがあるんですが、それだと、自分で考えているって言わないですよね。何もしなくても子どもたちが勝手に学んで勝手に楽しんでいる状態を構築するにはどうしたらいいんだろうっていつも考えています」(隼さん)
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