青森の女性カップル 婚姻関係がないと制度上「生きづらい」
青森県青森市在住の女性2人が6月5日、青森市役所に婚姻届を出しました。しかし青森市は憲法を根拠に受理しませんでした。同性パートナーの“結婚式”の例はありますが、手続きとして婚姻届を出すのはこれまでに公表された例はないとされています。婚姻届を出そうと考えた理由や思いについて、当事者の2人がインタビューに応じてくれました。(文中は仮名)
問題提起をしたかった
―― 同性婚の婚姻届を出したのは2人が初めてですか? 田中さん 公表されていないだけで、他の人もやっていると思っている。 ―― 同性婚は認められないと言われてきました。どうして手続きをしたのですか? 佐藤さん 私が誕生日で、「やってみたいことがあるのだけど……婚姻届を出してみたい」と田中さんに言ったのです。そしたら「いいよ」って。「同じ地域に住む者として、役所の人に肌感覚として分かってほしくて、届けを出してみたい」と言ったのです。 田中さん 同性パートナーでも“結婚式”をするなら、“婚姻届”を出すのかなと思っていた。でも、みんなやってない。私たちがやるなら何かを動かすとか、社会啓発になるようなことをしたいと思った。誰かが励まされるとか。どこかで何かを伝えられるかな、と。 佐藤さん 問題提起というか、疑問を発する。それをしない行動に魅力を感じない。自分たちが幸せでなければできないことだけど、自分ごとだけで行動はできなかった。
憲法論議になることは望んでいない
―― 受理されないと思っていた? 田中さん 99.9%受理されないと思っていた。同性婚に関して議論されているのは知っている。でも、届けを出した人の話を聞いたことがない。 佐藤さん パートナー法(同性婚を認める特別配偶者法)の制定などで活動をしている弁護士さんでも「出したらこうなるだろう」という推測はあった。 ―― 受理されない理由が憲法第24条でしたよね? 田中さん 婚姻届を出したときに、担当者が「お二人は戸籍上、女性ですよね?」と言われた。「婚姻に関しては(憲法第24条1項で)『両性の合意による』と言われているけれども、私たち二人とも性を持っています」と私が言ったことから、役所の人が憲法を理由に答えないといけないと思ったのかもしれない。(「夫」や「妻」を「×」していたことから)自分たちは書類不備で返されると思っていた。 憲法24条は同性婚を禁止する項目ではないという思いがある。非常に曖昧。だから、この書類には相応の意味があるとも思った。ただ、憲法で闘うのは本意じゃない。 佐藤さん 私たちは憲法議論になることは現状、望んではいない。24条を変えるのは非常に危険もある。婚姻の自由であるとか、人の権利に関する項目だから。 田中さん 普通は全部書いてあるのに不受理ということはない。理由も「憲法第24条第1項」と書いてある。「第1項」の「第」は要らないでしょ。あの不受理証明自体が不備です。