テイタムがプレーしなかった起用法をアメリカ代表の指揮官が説明「40分間の試合で10人を超える選手を起用するのは難しい」
「我々の仕事は、誰もが準備万端でいることでもある」
アメリカ代表はパリオリンピック初戦でセルビアに110-84の快勝を収めたが、スティーブ・カーの選手起用が物議を醸している。NBA優勝を果たしたセルティックスのエース、ジェイソン・テイタムを1分も起用しなかったのがその原因だ。 『The Boston Globe』はテイタムが試合後の取材対応を行っていないにもかかわらず、「コンディションに問題はない」というテイタムのコメントを発表した。テイタムと並ぶセルティックスのエース、ジェイレン・ブラウンが選手選考の不透明さを今もなお批判していることもあり、ボストンのメディアは総じてこの選手起用に否定的だ。 選手起用はヘッドコーチが決めるもので、結果はともかく経緯を説明する必要はないのだが、メディアを通じてNBAの各チームの都合が発信され、代表チームの結束が乱れるのは好ましくない。かくしてカーはテイタムをベンチにおいた理由を説明することになった。 カーはまず「ジェイソンは3シーズン連続でオールNBAファーストチームに選ばれている世界トップクラスの選手だ」とテイタムの評価をあらためて語り、「ケビン(デュラント)が復帰できて、最も理にかなった組み合わせを考えた。それでジェイソンをプレーさせなかったのは自分でもおかしいと思う部分があるが、40分間の試合で10人を超える選手を起用するのは難しい」と続けた。 「選手たちは、NBAでの実績に関係なくチームが6勝するのが大事だと分かっている。ジェイソンもプロフェッショナルとしてそれを理解しているし、次の試合に向けて準備している」 次の南スーダンとの試合に向けて「ジェイソンはプレーする」と指揮官は語る。「彼がプレーするとして、では誰がプレーしないのかという質問には答えられないが、我々は彼を必要としている。そして我々の仕事は、誰もが準備万端でいることでもある。これまでの経験からするに、こういう大会ではとんでもない事態が起こるものからだ」 12人すべてが大事な戦力だが、どう起用するかは対戦相手のプレースタイルとの相性次第。それがカーの考え方だ。セルビア戦ではニコラ・ヨキッチを止める手立てとして3人のビッグマンをローテーションで起用した。優先事項の2番目はポイントガードのバシリイェ・ミチッチを封じ込め、セルビアのチームプレーの根本を断ち切ることで、ここでドリュー・ホリデーとデリック・ホワイトという守備に長けたガード、奇しくもセルティックスの2人でほぼ40分を担当することになった。 結果、ウイングのプライオリティが下がり、テイタムのプレータイムがなくなった。それでも次に対戦する南スーダンはウイングに強みがあるチームで、オリンピック前の強化試合でアメリカと1点差の大善戦を演じた時には3ポイントシュートを33本中14本(成功率42.4%)決めている。これを封じる意味でテイタムはカーのファーストオプションにもなり得る。 タイリース・ハリバートンもセルビア戦ではプレータイムがなく、こちらは議論を呼んではいないが、必要な局面が訪れれば出番はやって来る。ベテランの多いアメリカ代表が6試合を通してベストパフォーマンスを発揮するための選手起用をカーは考えている。