レバンガ北海道を牽引する29歳のバスケ小僧(前編)高校も大学も『出番なし』からのスタート(レバンガ北海道 寺園脩斗)
大学卒業後、1年目で迎えた人生のターニングポイント
── 高校のときもそうですが、大学でも最初はほとんどコートに立てなかった寺園さんが最後はキャプテンとしてチームを牽引しました。それだけにちょっと意外だったのは、卒業後プロではなく実業団(九州電力)に入る道を選んだことです。 寺園 よくみんなから驚かれるんですが、こう見えて僕は4人兄弟の長男なんですよ。で、あのときは『自分は長男だから』という気持ちがあったんですね。自分は中学から家を離れて自由に好きなバスケットをやらせてもらったわけじゃないですか。周りからも「長男なんだし、そろそろ親元に帰ったら」と言われて、自分もそうだよなあと思ったんです。プロじゃなくてもバスケは続けられるわけだし、それならなるべく実家の近くで親孝行するのがいいんじゃないかと考えました。 ── ところが、1年でプロの道へ。どんな心境の変化があったのですか。 寺園 さっき「プロじゃなくてもバスケは続けられるわけだし」と言ったこと自体は間違いではないんですが、やはり仕事をしながらバスケをやるということが本当の意味でわかっていませんでした。仕事をしている以上、部署によっては残業もあるし、練習時間に全員がそろわないこともある。あたりまえのことです。けど、頭では「あたりまえだ」とわかっているその環境に僕は満足できませんでした。自分はやっぱり100%でバスケがやりたいんだってことに気づいたんです。ならばプロの世界に行くしかない。厳しくてもプロの道に行こうって決心しました。考えていた “親孝行” は1年で終了しちゃいましたけど、自分の気持ちを両親に話したら「まあ、そうなると思ってたわ」と言われました(笑) ── 不安はなかったですか。 寺園 不安よりもこれでスタートラインに立てたっていう喜びの方が大きかったです。わくわくしましたね。わくわくしっぱなしでした(笑) 後編「結果が出ないときも絶対に下を向かない」へ続く
松原貴実