久保建英の今季をスペイン人記者がデータ分析「最もデュエルに勝っているのは注目。パス成功数は改善点」
【データ面でもチームを引っ張る選手と証明】 私が冒頭で「久保は危機的状況におけるリーダーだ」と述べたのは、そのことを数字が証明しているからだ。決して空言ではない。困難を抱えるこのシーズン序盤において、彼が攻撃面の重要なスタッツでトップに立っていて、データ面から見てもチームを引っ張るリーダーとなっている。 これまで行なわれたラ・リーガ8試合で、オスカールソンと並びチームトップの2ゴールを挙げているが、特筆すべきはシュートの成功率が非常に高いことだ。ラ・レアルで一番多くシュートを打っている選手ではなく、4本のシュートで2ゴールを決め、その成功率は50%となっている。彼にこれ以上の効率アップを求めるのは、酷だろう。 被ファウル数の多さも、彼が臆することなく攻撃の中心であり続けている点を証明しており、チームトップとなる17回のファウルを受けている。 また、それだけでは不十分であるかのように、チームで最も多くのデュエルに勝っているのも注目に値する。これまで33回勝利しており、イマノル監督はその献身的な戦いぶりを高く評価している。 その一方で久保の改善すべき点は、パスの成功数だ。マルティン・スビメンディの380本に対し、久保は144本。彼にはまだ磨かなければならないことがある。しかし、彼にはそれに取って代わる類稀な突破力という武器があり、ドリブル突破をチーム最多の11回成功させている。これは2番目に多いスビメンディの倍以上の数字で、ほかの選手との違いを見せている。 おそらくそのプレースタイルのせいで、ボールロスト数は112回とチームで一番多い。これに近い数字を残しているのは、久保同様に攻撃の最後の局面でリスクを冒しているセルヒオ・ゴメスとなっている(106回)。
先日3-0と大勝したバレンシア戦は、まさに久保のあらゆる側面が表われた試合となった。攻撃陣で最もアクティブな選手となり、今季2度目の得点を記録した。頻繁にプレーに関与し、右サイドバックのジョン・アランブルとのコンビネーションで多くのチャンスを生み出した。今回は先制点を奪ったあとのゴールパフォーマンスで何も主張することなく、チームメイトと一緒に喜びを分かち合っていた。 イマノル監督は終盤、無理に出場させ続けて起こり得るケガを回避するために、久保を交代させた。それは久保がチームを牽引するリーダー的存在の選手だからであり、相手ペナルティーエリア内で効果的にプレーできる選手を失うリスクを冒すことなどできないからだ。 それは、私が言っているのではない。数字がそれを物語っている。 (髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo