元都知事目線で見る「都知事選の争点」…インバウンド頼りでなく、東京を再び「稼げる都市」にするために必要な政策とは
小池都知事の「ばら撒き政治」
ところが、新型コロナウイルス流行で緊急事態宣言が発令された3日後の2020年4月10日、小池都知事は営業自粛要請の対象となる事業者に「感染拡大防止協力金」と称して、50万円、2店舗以上を所有する場合には100万円支給するという大判振る舞い政策を打ち上げた。 何人の事業者を対象にするかも決まっておらず、財源のことも考えずに、このような対策を口にすることは非常識な人気取りパフォーマンスであるが、それは9500億円の財政調整基金があるからできた離れ業である。 結局、その他の施策も含めて、東京都のコロナ対策費は1兆465億円にも上ったが、そのほとんど、つまり9000億円分を、この財政調整基金から賄ったのである。このようなばら撒きを、その後も小池は継続していった。 都内に住む18歳以下の子どもに対して、親の所得に関係なく、月額5000円(年額6万円)を支給する制度を2024年1月から実行に移した。 また、「世帯年収が910万円未満」を対象としている私立高校の授業料支援制度について、2024年度から所得制限を撤廃した(公立高校については、国の支援金制度で、すでに所得制限が無くなっている)。さらには、私立中学校の授業料を年10万円まで助成する支援制度についても、2024年度から所得制限を撤廃した。 東京都の豊かな財政が、小池のパフォーマンス政治、ばらまき政策、ポピュリズムを助長している。だが、ばらまき政治には弊害があり、不景気に備えて、無駄を排除しなければならない。 蓮舫は、「本物の行財政改革」を公約にうたっているが、具体的にどうするのか。都民の反感を買っても、このばら撒き政治を止めることができるのか。
防災対策はどうなっているのか
小池も蓮舫も、「防災」を公約に掲げている。木造住宅密集地域の解消などの地震・火災対策は掲げているが、両者とも、洪水対策についてはあまり触れていない。 このところ、各地で地震や大洪水などの被害が頻発しているのに、である。危機管理の専門家として、私は、都知事時代に『東京防災』という本を編集して各家庭に無料配布した。 今、荒川や江戸川が決壊したら、江東5区(墨田、江東、足立、葛飾、江戸川)で、250万人が避難する必要がある。千葉県側に逃げるべき(水平避難)だが、橋が十分な数ない。 私はこの橋の建設計画を立てたが、小池都政では全く何も動いていない。千葉に逃げられないと、垂直避難、つまり高い建物の上の階に逃げるしかない。しかし、食料などをヘリコプターで運ぶ必要が出てくる。 防災に本腰を入れるべきだ。9月1日だけ訓練すれば済む話ではない。
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