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全豪連覇に挑む大坂なおみに”教授”と呼ばれるデータテニス駆使の名参謀

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THE PAGE

 初めて訪れた瞬間から空気が肌に合い、心が浮き立つような町や国が誰しもある。大坂なおみにとってはオーストラリアが、そのような土地だという。  「初めて来たときからずっと、オーストラリアのファンは私を応援してくれている」「オーストラリアは、私が最も好きな場所のひとつ」     今季開幕戦のブリスベン国際で、彼女は幾度もそのように繰り返した。その相性の良い国で、今季最初のグランドスラムが1月20日に幕を開ける。    ディフェンディング・チャンピオン――それが、全豪オープンに向かう大坂なおみに与えられた肩書だ。  遡ること約一月の2019年12月5日。  ロサンゼルスで大坂は、例年より遅いプレシーズンを迎えていた。10月下旬のWTAファイナルズで痛めた肩の、完治を最優先させたがためである。  その例年より短いトレーニング期間の多くの時間を、大坂はまず、フィジカル強化に費やした。さらにテニスのプレー面では、「とても効率の良い練習が出来た」と彼女は言う。    「私が前日に話したことや、練習で上手くいっていなかったことを分析し、そのうえで必要な練習メニューを考えていく。彼は、そういうコーチなの」  昨年末にコーチに就任したウィム・フィセッテを、大坂はそのように評した。「フィセッティ」という愛らしいニックネームを大坂から与えられた新コーチは、チーム内では敬意を込めて、「プロフェッサー」と呼ばれているという。

 キム・クライシュテルスに始まり、ビクトリア・アザレンカ、シモナ・ハレプ、ジョアンナ・コンタ、そして直近ではアンジェリック・ケルバーら錚々たる面々のコーチを歴任したフィセッテは、データに基づいたロジカルな指導手腕で知られる指導者だ。  本人もそのことを認めた上で、「大切なのは、選手のタイプに応じて必要な情報を与えること」だとも言う。  例えばアザレンカは、対戦相手の情報を多く知りたがるタイプだったと。対してコンタは、「自分の感性を大切にするタイプ」。自分が指導する選手の個性を見極めて、その時々で指導法も変えていく……それが、フィセッテがいずれの選手とも結果を残してきた理由だろう。  では“プロフェッサー”は、大坂のことを、どのように見ているのか?  その問いに、昨年末時点での彼は「まだ選手を知ろうとしている段階」と前置きしたうえで、次のように答えている。 「データは無限なので、彼女に必要なことを伝えるのが大事です。多くの情報を持ってコートに入りたがる選手もいるし、1~2点ほどに絞って、後は直感的に動くことを好む選手もいる。なおみは非常に頭が良いので、いくつかのキーポイントを頭に入れて試合に挑むことができます」  さらにフィセッテは、昨年末の初顔合わせ時の大坂との会話に、彼女の優れた生徒の資質を見いだした様子だ。 「最初のミーティングで、彼女は『私の弱点はなんだと思う?』と聞いてきたんです。とても興味深い視点だと思いました。だから私は『確かに弱点はあるが、それは伸びしろなんだ』と伝えたんです」。  だからこそフィセッテは、「データを使ってどこが改善できるかを分析し、それに取り組んでは、また次の課題に移っていくということを繰り返している」とも言った。大坂の言う「効率の良い練習」とは、まさにこのことを指すのだろう。