ファストバック・スタイルの流麗なデザイン

メルセデス・ベンツの新しいクーペとなる「CLEクーペ」。CLK以来、再びCクラスとEクラスが統合された。

「東京オートサロン2024」で発表された新型「メルセデス・ベンツEクラス」には2ドア・クーペとカブリオレの姿はなく、セダンとステーションワゴンが並んでいた。従来型の「Eクラス・クーペ」はなくなり、新型ではニューモデルとして登場した「CLE」クーペが後を受け継ぐことになる。 【写真24枚】再びCクラスとEクラスが統合されたメルセデスのミドルサイズ・クーペ、「CLEクーペ｝の流麗なフォルムを持つエクステリアや最新のインフォテインメント装置を備えたインテリアなど詳細画像をチェック ◆CLEカブリオレもスタンバイ なおメルセデス・ベンツ日本のホームページには、発表前からCLEクーペのほかにCLEカブリオレの数枚の写真が掲載されたティザーサイトが立ち上がっていて、日本導入予定と記載されている。つまり、今回発表されたCLEクーペだけでなく、すでに本国では発表済みのCLEカブリオレも日本上陸を控えていることになる。 ◆1車種で勝負 CLEクーペはEクラス・クーペだけでなく、これまでのCクラス・クーペも統合したモデルだ。今や市場的にはニッチなモデルになる2ドア・クーペを1モデルでまかなう格好になる。 ボディ・サイズは、全長×全幅×全高＝4850×1860×1420mm。新型Eクラス・セダンの4960×1880×1470mm、現行Cクラスの4755×1820×1435mmと比べるとEクラス・セダンに近い。 なお、従来型のEクラス・クーペは4845×1860×1430mm、すでに廃止されて久しいCクラス・クーペは4700×1810×1405mmで、従来型Eクラス・クーペとほぼ同じだ。EクラスとCクラスのクーペを統合したモデルだが、「CLE」の「E」が示すとおり、サイズ的にはEクラス・クーペの後継モデルということになる。 メルセデス・ベンツにはかつて販売されていた高級クーペの「CLクラス」があり、その後「CLS」にバトンを受け継いだ。現在は、「CLA」、「CLS」というラインナップで、残っていた従来型Eクラス・クーペも新型CLEに車名が統一されたことになる。 ◆メルセデス伝統のクーペ・スタイル CLEのエクステリアはメルセデスの2ドア・クーペが受け継いできたロングノーズ＆ショートデッキ、ロングホイールベースを採用。クーペらしい流麗なルーフラインを描きながらも後席の居住性にも配慮されたという。 フロント・マスクはお馴染みの立体的なスターパターンが配されたフロント・グリルをはじめ、わずかに逆スラントされたシャークノーズ、スリムなフルLEDヘッドライト(デジタルライト)から構成されていて、グリル下の開口部はワイドで大きくなっている。力強いフロント・エプロンは空力性能にも配慮されている。また、ロングノーズに配されたパワードーム（縦に2本配された隆起した峰のような形状）も顔つきの力強さに寄与している。 ◆美しいシルエットが際立つ クーペらしい美しいシルエットが際立つサイド・ビューは、前後ライトから伸びる前後のラインと、ドアに配された3本ラインが曲面に絶妙なエッジを加えることで面の美しさを強調。存在感のある前後ホイールアーチに囲まれたタイヤ＆ホイールは、19インチが標準で、オプションで20インチも設定する。 後ろ姿で目を惹くのは、2ピース・デザインのスリムなリア・コンビネーション・ランプで、スマートで上質な雰囲気を醸し出している。さらに、トランクリッド後端にはボディ同色のスポイラーリップが備わり、クーペらしい流麗さにスパイスを加えた。 ◆先進的なインパネ インテリアはCクラスに似た先進的な仕立てで、中央の縦型11.9インチディスプレイ、12.3インチのメーター・ディスプレイを用意。つまり、EクラスやCクラスと同じメーター（サイズ）を備えている。 内装で異なるのは、専用開発となるスポーティなデザインが特徴のフロント・シート。シート素材はブラックで人工皮革の「レザーARTICO」が標準で、オプションの「レザー・エクスクルーシブ・パッケージ」として4色の本革内装も設定する。本革仕様を選択すると、「マルチコントロールシート・バック」やシート・ベンチレーターも備わり、快適なドライブが可能になる。 ◆後席の快適性も向上 リア・シートは2人掛けの左右独立式で、従来型Cクラス・クーペに対してレッグルームを56mm拡大。従来型のEクラス・クーペよりも肩まわりが54mm拡大されるなど、後席の快適性も向上したという。後席バックレストは、40：20：40 の分割可倒式シートを採用している。 また、左右1枚ドアの泣き所であるシートベルトの遠さにも配慮。シートベルトの装着を容易にするベルトフィーダーが標準装備されている。これは前席乗車時にドアを閉めると自動的にシートベルトを前に出て身体をひねらずに装着できるという優れモノだ。 さらに、後席の乗降を容易にする「イージー・エントリー」(ステアリング・前席)も標準化された。前席背もたれを倒すだけでフロント・シートが前方に移動し、後席乗車後にバックレストを戻すと前席が元の位置に復帰する。 ◆2リッターのマイルド・ハイブリッドを搭載 今回導入されるのは「CLE200クーペ・スポーツ」のワン・グレード。「AMGラインインテリア」が標準で、3ツイン・スポークとフラットボトム・デザインが特徴のマルチファンクション・ステアリングや人工皮革のARTICO（アルティコ）ダッシュボードなどにより、スポーティで上質なムードを放っている。 搭載されるパワーユニットは、直列4気筒の2.0リッター・ターボで、マイルド・ハイブリッドの第2世代のISG（インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター）を組み合わせる。トランスミッションは、「9G-TRONIC」と呼ぶ9段ATになる。 また、ボディカラーは「マグノ」(艶消し)カラーを含む9 色が設定された。価格は850万円となっている。 文＝塚田勝弘　写真＝望月浩彦 （ENGINE WEBオリジナル）