帰属意識を高めるには?ワークエンゲージメントをもたらす個人・組織へのアプローチ方法
帰属意識を高めるメカニズム「ワークエンゲージメント」
不確実性の時代と言われる今、キャリア自律への意識はますます高まっています。どこに行っても通用するスキルや経験の習得を求めるビジネスパーソンが増え、ワークエンゲージメントが得られない企業や組織に対して、従業員エンゲージメントは高まらなくなっています。 「仕事が楽しい」「能力が高められる」という実感があってはじめて、その機会を提供してくれた会社や組織に対して感謝の気持ちが生まれます。もらった恩を返したくなる「好意の返報性」という心理学の原理に基づき、組織への愛着(従業員エンゲージメント)が高まっていくのです。 【ワークエンゲージメントが帰属意識を高めるメカニズム】 自分が望む“理想のキャリア”や“なりたい自分”に向けて、会社が応援してくれる ↓ サポートしてくれた会社への感謝の気持ちが生まれる ↓ 恩返しをしようと組織への貢献度が高まる ↓ 「自分はこの組織の一員である」という帰属意識が高まり、結果として定着率につながる
帰属意識が低下するとどうなる?
ワークエンゲージメントが高まらず、帰属意識の低い組織には、どのような弊害が生まれるのでしょう。 まず挙げられるのは離職率の高さ。人材が定着しなければ事業成長につながらず、従業員のモチベーションはさらに下がっていきます。 そして、「組織市民行動」が減ることで、組織全体の生産性が低下していきます。組織市民行動とは、自分の役割や担当業務以外のことでも、自発的に他者を支援する行動のことを指します。 これがなくなると、組織内には指示されたこと以外やらない人、自分の報酬につながる仕事しかやらない人が増えていきます。足りないところを補おうと動く人がいなければ、組織のパフォーマンスは下がっていくでしょう。 ◆帰属意識を高めるために、やりがちな失敗とは ただ、ワークエンゲージメントの重要性を無視して「帰属意識を高めよう」と思ってもなかなかうまくいきません。 帰属意識を高める施策として、飲み会やパーティ、運動会、社内旅行や合宿などさまざまな社内イベントを行う企業も少なくありません。 しかしこれらは、従業員らが、組織に対してある程度の愛着や一体感を持って初めて効果を発揮するもの。ワークエンゲージメントを高め、個人の仕事観やキャリア像に寄り添ったサポートがないままでは、逆効果になりかねません。 ◆ワークエンゲージメントを測る方法 ワークエンゲージメントを測定する方法に「ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント・尺度」があります。 活力・熱意・没頭の3つの尺度、計17項目の質問に対して、「まったくない」から「いつも感じる」までの7つの選択肢を選び、ワークエンゲージメントがどれほど高いかを測定します。 【17の質問項目】 1.仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる (活力 1) 2.自分の仕事に、意義や価値を大いに感じる(熱意1) 3.仕事をしていると、時間がたつのが速い(没頭1) 4.職場では、元気が出て精力的になるように感じる(活力2) 5.仕事に熱心である(熱意2) 6.仕事をしていると、他のことはすべて忘れてしまう (没頭 2) 7.仕事は、私に活力を与えてくれる (熱意 3) 8.朝に目がさめると、さあ仕事へ行こう、という気持ちになる (活力 3) 9.仕事に没頭しているとき、幸せだと感じる (没頭 3) 10.自分の仕事に誇りを感じる (熱意 4) 11.私は仕事にのめり込んでいる (没頭 4) 12.長時間休まずに、働き続けることでできる (活力 4) 13.私にとって仕事は、意欲をかきたてるものである (熱意 5) 14.仕事をしていると、つい夢中になってしまう (没頭 5) 15.職場では、気持ちがはつらつとしている (活力 5) 16.仕事から頭を切り離すので難しい (没頭 6) 17.ことがうまく運んでいないときでも、辛抱強く仕事をする (活力 6) 帰属意識を高めるには、これら17項目を「いつも感じる」と答える従業員が増えるようなアプローチが必要なのです。