介護職に従事する女優・北原佐和子が常に心掛けていることとは。「上から目線、流れ作業…利用者はすべてを敏感に感じとる」
厚生労働省が実施した「令和4年 介護サービス施設・事業所調査」によると、介護に従事する職員数は年々増加しており、令和4年度は215.4万人だったそうです。そのようななか「女優の仕事と介護の仕事は似ている」と話すのは、芸能活動のかたわら、介護福祉士や准看護師として現場で活躍する北原佐和子さん。今回は、北原さんの著書『ケアマネ女優の実践ノート』から、北原さんが介護の現場で経験したエピソードを一部ご紹介します。 【写真】施設利用者に、アイドル時代のクイズを出題する北原さん * * * * * * * ◆見ている方は「しっかり見ている」流れ作業にならないコミュニケーション すべての利用者さんではないのですが、見ている方は見ているのですね。私たちスタッフの姿、行動や表情をしっかりと。 朝、出勤したら、「この方、朝ごはんを食べてくれません……」と愚痴をこぼすスタッフがいました。 「え? どうして朝ごはんを食べないの?」 「わからないですけれど、食べないのですよ」 利用者さんにも、スタッフに対する好き嫌いはあります。自分に合うか合わないかですよね。 それから、ちょっと上から目線の態度だったり、流れ作業的な感じで心なく接したりしていると、利用者さんはすぐに感じ取ります。 朝ごはんを食べないこと。 それは利用者さんなりの抵抗の表れなのでしょう。
◆自分と合わせ鏡 スタッフの立場に立てば、いつも誠心誠意というのは、正直なかなか難しいとは思います。 たとえば夜勤をしていると、朝起きたら歯磨きと洗顔をして、着替えて、朝ごはんを食べてもらって、それを何時から何時までの間にやり終えないといけないわけです。 そういう慌ただしい流れの中で、ちょっと言葉が荒くなったり、雑になったりすることもあるでしょう。 でも、利用者さんは、それら全部を敏感に察します。 逆に考えれば、スタッフの態度が変われば、きっと朝ごはんを食べてくれるはず。自分と合わせ鏡なのですよね。
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