【秋華賞】中間に出た「不安説」の真相 根性娘ステレンボッシュが〝理想の馬体〟で2冠奪取へ
[GⅠ秋華賞=2024年10月13日(日曜)3歳牝、京都競馬場・芝内2000メートル] 今週末のGⅠは3歳牝馬の3冠最終戦・第29回秋華賞(13日=京都芝内2000メートル)。レースセンスが要求される京都内回りコースということもあり、注目が集まっているのは連対率「100%の女」こと、桜花賞馬のステレンボッシュだ。デビュー以来2着を外したことのない“安心感随一の牝馬”は、不測のアクシデントに直面しても決してめげない根性娘でもある。この中間には「不安説」も出たが実際のところはどうなのか。現状に迫った。 桜花賞は阪神JFでクビ差及ばなかったアスコリピチェーノに雪辱を果たして牝馬1冠を達成。2冠が懸かったオークスは単勝2倍台の支持を集めたが、道中は内々で動きづらいポジションに入って4角は馬群の後方まで下がってしまう。直線は内をうまくさばいて一旦は先頭に立ったが、外からチェルヴィニアの強襲に遭って2着惜敗。道中は落鉄もあって運にも見放され3冠の夢は断たれてしまった。 「ファンの人が動画をアップしていたけど、スタートしてすぐに(右トモを)落鉄していた。ほぼ1周を片脚で走ってきて一旦はゴチャゴチャした内から抜け出してきたし、力のあるところを見せてくれた」とは担当の田村助手。スタート直後、アクシデントに見舞われながらも圧巻の走りを見せたことで改めてステレンボッシュの能力、そして底力を再認識した一戦となった。
1週前追いで異変が…
オークス後はノーザンファーム天栄へ放牧に出され、9月中旬に美浦へ帰厩して9月19日に栗東へと移動してきた。中間の調整は順調に進められていたものの、これまで桜花賞、オークスはいずれも1週前、最終追いをウッドコースで消化してきたが…。今回の1週前追いは当初のウッドから坂路、それも水曜ではなく木曜にスライドして行われた。そんなこともあり、牝馬2冠へ向けてわずかな調整の狂いが出て一気に不安説!?が駆け巡ってしまった。 「前さばきに硬さが出たので大事を取って坂路での追い切りに切り替えました。(馬体が)立派なところがあったのでシッカリと負荷をかけましたが、坂路で戸惑った感じがあったし、1週前で重たさもあったかな。ただ、桜花賞のときの1週前追いも先着はしたけど重たさがあった。当週はガラッと変わって並びかけるときの勢いがすごかったですし、今回もそうであってほしいですね」と田村助手は包み隠さずに変更の経緯を話す。 しかし、先週の坂路は全体的に重たくて木曜は雨もあって相当タフなコンディション。その中で12秒台のラップを3回も刻んで4ハロン52・2ーラスト1ハロン12・9秒をマーク。脚元に不安があればこれだけの負荷はまずかけられないだけに、影響は皆無だろう。 「放牧を挟んで体幹がシッカリして人に頼らなくても自分のバランスで走れるようになっていますね。京都内回り2000メートルになるけど、不器用な馬でもないし、位置を取る競馬もできますからね。注文が付いたとしても問題ないと思う」と同助手は、その背中からひと夏を越しての成長をハッキリと感じ取っている。