マンホールのふた、なぜ相次ぎ“吹き飛ぶ” 「エアーハンマー現象」とは
日テレNEWS NNN
21日午後7時ごろ、東京・新宿駅前でマンホールからものすごい勢いで水が噴き出しました。カメラには、マンホールのふたが飛ぶ瞬間もとらえられていました。一般的なマンホールのふたの重さはおよそ40キロで、日本グラウンドマンホール工業会によると、5~6メートルは飛んだのではないかと考えられるということです。
■空気圧でふたが吹き飛ぶ? 「エアーハンマー現象」とは
藤井貴彦キャスター 「マンホールのふたのずれや周囲の舗装が浮き出す隆起は、22日朝までに少なくとも都内5か所で確認されたということですが、なぜこれだけ相次いだんでしょうか」 小栗泉・日本テレビ解説委員長 「東京都下水道局によると、新宿区の下水道は1時間に75ミリの大雨に、耐えられるよう整備を進めているといいます。そんななかで21日は1時間に97ミリという猛烈な雨が記録されたので、この設計を上回る大雨だったということです」
「ふたが浮いたり、飛び上がったりするのはいくつか理由が考えられるんですが、21日、新宿で吹き飛んだのは『エアーハンマー現象』の可能性が非常に高いといいます」 「どういう仕組みかというと、普段は下水道管の中の水位は低いんですが、21日のように大量の雨水が流れ込むと水位が急上昇します。そうすると空気が行き場をなくして圧縮され、まず、マンホールのふたの穴から空気や水が勢いよく噴き出します」 「この時点では、がんばって空気を逃がしている状態ですが、水の勢いが強すぎると空気圧の高まりに耐えられなくなって、ふたが吹き飛んでしまうことがあるということです」 藤井キャスター 「空気圧でふたを下からたたくような感じなので、『エアーハンマー現象』という名前なんですね?」
小栗解説委員長 「その通りです。実際、21日の映像では、ふたらしきものが割れて道路に散らばっているのも確認できます。東京都下水道局は『想定していなかった事態で、再発防止に努める』としています」
■下水あふれ防ぐために…私たちができることも
小栗解説委員長 「水難学会の斎藤秀俊理事によると、急な大雨になった時には道路などが冠水してマンホールのふたがあいていることに気づかないことがあるので、まずは冠水した道路には近づかない、そして、なるべく外に出ないことが重要だということです」 藤井キャスター 「最近、急な大雨が多いですが、清水さんは注意していることありますか?」 清水希容さん(空手家・五輪銀メダリスト・『news zero』木曜パートナー) 「大雨が降った時、自宅で玄関付近まで浸水しそうになることがあります。そういった時は、大雨がやむまでは、下水の逆流があったりするので、お風呂やシャワーなどは極力使わないよう気をつけています。3階のトイレを使おうと思った時に、便器の水がぎりぎりまで上がってきたこともあったので、高いからとって油断できないなと思います」 藤井キャスター 「東京都によりますと、東京23区の8割が雨水と汚水を同じ下水管で集めているということです。そのため大雨の時は台所や洗濯やお風呂の水の排水を、警報などが解除されるまでは控えることも下水があふれるのを防ぐ助けになるということです」 (8月22日『news zero』より)