EVブーム終焉? 米で販売急失速…充電や消費電力の課題どう解決? 「日本は出遅れたと言われるが、10年後には評価されているのでは」
■バッテリー機能、充電環境の課題どう解決?
EVには、高額、走行距離が短い、充電が面倒といったデメリットもある。マンションなど家に充電器が置けない場合もあり、外で充電するにも30分は必要。また電気も、自宅の場合はプラス30アンペアを要し、これはドライヤー3台を一晩使い続ける程度の出力となる。 岡崎氏は、バッテリー事情は日進月歩だとした上で、「リチウムイオンも良くなり、全固体電池と比較できるレベルになっている」と述べる。その一方で、「家に充電器がなければ、急速充電器が必要。太陽光発電が下がる会社帰りの時間帯にみんなが使ったら、電力を大量に消費して停電してしまう」と生活スタイルの影響にも触れる。 さらに、「充電がビジネスになっていない」現状もあると指摘。「補助金がないと成り立たないが、EVに乗っていない人の税金が使われると不公平になり問題が起こる」「EVはバッテリーが一番高い。レアメタルがひっ迫している中で、補助金で大量生産しようとするとむしろ価格が上がる」とした。
もし2050年にすべてをBEV(バッテリー式電気自動車)にした場合、車載用電池の需要は2032年ごろ、リチウムの供給量を上回ってしまう予測もある。需給のギャップを埋めるためとして、「今のバッテリーの半分で済むEVを開発したり、ハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車を増やしたり、バランスよくやっていく必要がある。ハイブリッド車は、EVの100分の1くらいのバッテリー容量。CO2は少し出てしまうが、合成燃料などが使えるようになれば実質ゼロにできる」と述べた。
■「EVが良いものだから選ぶ、というのが自然な流れ」
竹中氏は、市場を牽引するのは「ファイナンス・金融部門ではないか」と予測する。「前イングランド銀行総裁らによる“グラスゴー金融同盟”は、CO2を排出するプロジェクトにお金を出さない。お金を絞れば、状況が変わる。ヨーロッパは環境に対する意識が高く、それが自動車にどう影響するか」。 岡崎氏は6月のEU議会選挙に注目しているという。「どの勢力が票を伸ばすのか。やり方は十人十色だ。ただ、金融がリードしてきた面は大きく、本当に良いものにはファイナンスを付けていく必要がある」との見方を示す。