トルコ反政府デモ、背景は?/高圧的な政権運営に反発
5月末にイスタンブールで大規模な反政府デモが起こり、これがトルコ各地に飛び火しました。この様子は世界各地にテレビで伝えられました。観光都市イスタンブールの評判は、これで大きく傷つきました。また2020年のオリンピック誘致にも今回の騒動はマイナスになったと見られています。 この大規模なデモの背景には何があるのでしょうか。一つはトルコ政府なかんずくエルドアン首相の政権運営が高圧的だとの市民の反発があります。エルドアン率いる公正発展党(AKP)は、2002年の総選挙で勝利を収めて以来、これまで3回の総選挙を制し11年にわたって政権を担当しています。特に2011年に実施された選挙では、50%近い票を得て大勝利を収めました。現在の議会では550議席中の327議席という過半数をはるかに上回る議席を保持しています。この議席数を背景にするエルドアンの政策運営が、対話を重視していないという不満が市民の間に高まっていました。
イスラム教徒寄りの政策
また多くの市民は、与党の公正発展党がイスラム教に熱心な層を支持基盤としているために、トルコの政治と宗教の分離の原則をなし崩しにしているのではないかと恐れています。たとえば、これまで女子学生が大学のキャンパス内でベールで髪をおおうのは禁止されていましたが、2010年に政府によって、これが解禁されました。 また2013年2月には、国営のトルコ航空が、女性の客室乗務員用のカフタンを新しいデザインとしました。新しカフタンでは、裾が足首を隠すほど長くなっています。また5月には、同航空は客室乗務員の赤い口紅やマニュキュアを禁止しました。そして、やはり5月に首都アンカラの地下鉄の駅でカップルが公然とキスをしないようにとの当局からの呼びかけがありました。これに対して若者たちが、駅に集まってキスをするイベントを開いていたところ、熱心なイスラム教徒と名乗る一群が、イベントを暴力で妨害する事件がありました。