トルコ反政府デモ、背景は?/高圧的な政権運営に反発
野党は分裂して力なく
さらに議会では、アルコールの宣伝とモスクや教育施設の周辺でのアルコールの販売を禁止する法案が成立を待っている状況です。多くの国民が、こうした措置を宗教の押し付けととらえて反発しています。野党は、分裂して力がなく、これまでは世俗的な市民の票を吸い上げて結集することができませんでした。行き場を失って充満していたリベラルな市民の不満に火がついて爆発したのが今回のデモ騒動です。 ただしエルドアン政権は、公正な選挙で選ばれました。また経済運営でも激しかったインフレを押さえ込みトルコ経済を成長軌道に乗せました。独裁で経済運営に失敗していたエジプトやチュニジアのアラブ諸国の政権とは、根本的に異なっています。しかし市民の不満の表面化に直面し、エルドアン政権も対話を重視した協調的な政権運営の必要性に気がつかされたでしょう。いずれにしろ来年のトルコの総選挙が面白くなってきました。(放送大学教授・高橋和夫) 高橋和夫の国際政治ブログ