反捕鯨団体創設者の勾留再延長、弁護団「日本が異常な圧力」
【AFP=時事】デンマーク自治領グリーンランドの裁判所は2日、政庁所在地ヌークで7月に拘束され、日本が身柄引き渡しを求めている反捕鯨団体「シー・シェパード」の創設者、ポール・ワトソン容疑者について、今月18日までの勾留延長を決めた。延長は6回目。 【写真】反捕鯨団体創設者、仏に政治亡命申請 日本では「公正な裁判受けられない」 警察によれば、裁判所は「身柄引き渡しの決定に関連してワトソン氏の立ち合いを確保するため」に勾留延長を認めた。 2日に74歳の誕生日を迎えたワトソン容疑者は今年7月、日本の要請を受けて国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)が2012年に発行した「赤手配書」に基づき逮捕された。海上保安庁が、2010年2月に南極海で発生した日本の調査捕鯨船乗組員に対する傷害、器物損壊等の事件の共犯として逮捕状を取得し、国際手配していた。 検察側が4週間の勾留延長を求める一方、弁護団は釈放を求めていた。弁護団の一人、ジュリー・ステージ氏はAFPに対し、「決定には同意できず、不服を申し立てた」と語った。 ワトソン氏は法廷を後にする際、記者団に対し、日本の身柄引き渡し要請について「2010年の出来事とは何の関係もない」「非常に政治的だ」と主張。 「日本が望んでいるのは復讐(ふくしゅう)だ。それが目的だ」と続けた。 デンマークの司法省は先週末、身柄引き渡しに関する決定が近づいているとAFPに語った。ステージ氏は「14日以内」に決定が下されるとの見方を示した。 デンマークが身柄引き渡しに同意した場合、弁護団は異議を申し立てる意向だという。 弁護団のジャン・タマレ氏は、日本政府がデンマーク政府に対し、貿易や商取引を打ち切ると脅迫するなど「異常な圧力を加えている」と批判。 「われわれは日本の検察だけではなく、政府という戦争機構と対峙(たいじ)している。日本の司法が全く独立していないことの証拠だ」「独立した司法を持たない国に身柄を引き渡すことはできない」と訴えた。 弁護団は9月、環境活動家を担当する国連(UN)特別報告者に連絡し、ワトソン容疑者が日本の刑務所で「非人道的な扱い」を受ける可能性があると主張した。【翻訳編集】 AFPBB News