首都圏で導入相次ぐ2階建て車両 ── 全国的には「異色」の存在(鉄道ライター・伊原薫)
先日、JR東日本は中央線に2階建てグリーン車を導入することを発表しました。首都圏で次々と導入される2階建てグリーン車ですが、実は全国的に見ると2階建て車両というのはかなり稀(まれ)です。今回は、2階建て車両について色々と取り上げてみます。
2020年度から、2階建てグリーン車2両を増結
東京駅から新宿を抜け、三鷹・立川・八王子・高尾と西へ向かって伸びる中央線。この路線はその先、長野県の塩尻駅を経由して愛知県の名古屋駅までを結ぶ長大路線ですが、このうち東京~大月間は「中央快速線」として、立川から伸びる青梅線と一体的に運用。オレンジ色の帯を巻いたE233系通勤型電車が最大10両編成で活躍し、首都圏の大動脈として重要な役割を担っています。 このE233系電車に、2階建てグリーン車2両を連結し、12両編成とすることが2月4日にJR東日本から発表されました。2020年度のサービス開始を目指して本年度より設備改良計画に着手。このサービスが始まれば、単純に考えて中央線の列車は2両の増結となるため、混雑の緩和が期待できるほか、特急列車に乗らずとも車内販売などの快適なサービスが、中央線でも受けられることになります。 ただし、ここで注意したいのはこのグリーン車、他の路線のそれと同様に「指定席」ではない点。つまり、グリーン券を買って乗車したはいいけれど、座席が空いていない・・・という可能性もあるのです。 ちなみに、現在中央線でラッシュ時に運転されている「中央ライナー」は座席指定となっているため、座れないということはありません。他線でもラッシュ時には、グリーン車が満席で座れないということもあるようで、確実に座りたい時はこれまで通り、始発駅で並ぶ必要があるのかもしれません。 とはいえ、ゆったりした座席で移動でき、グリーンアテンダントによる車内販売サービスもあって特急料金は不要、というグリーン車の連結は魅力です。中央線への導入によって、都内から伸びる主要5路線(東海道・東北・常磐・総武・中央線)すべてにグリーン車が連結されることになり、遠距離移動がさらに快適になることは間違いありません。