滝藤賢一が仲代達矢が主宰する超難関「無名塾」に入塾できた理由「“これイケるかも”って思ったんです」
映画『クライマーズ・ハイ』での一途であるが故に心を病んでしまう新聞記者から、『踊る大捜査線』シリーズでの中国人刑事、はては映画『ひみつのなっちゃん。』でのドラァグクィーン……様々なキャラをこなし、見るものを魅了する俳優・滝藤賢一さん。最近ではCMでのコミカルなアナログ部長が印象的だ。最新出演作、映画『私にふさわしいホテル』では、文壇の大御所作家・東十条宗典を演じ、山の上ホテルを舞台に野心溢れる“新人作家”中島加代子(のん)と権威ある文学賞を巡る攻防を繰り広げ、新境地を見せる。そんな滝藤さんに俳優になるきっかけから“これから”も含めてのCHANGEを聞いた。【第1回/全3回】 ■【画像】滝藤賢一が10年間を過ごした「無名塾」主宰・仲代達矢92歳の誕生日12月13日に投稿された公式X 「子供の頃から映画と洋服に夢中でした」という滝藤さん。かつて『服と賢一 -滝藤賢一の「私服」着こなし218』(主婦と生活社刊)というスタイルブックを出版したこともあるほど、服に対するは関心は高い。この日も服だけでなく装飾品や眼鏡に至るまで個性的でファッショナブル。着こなすというよりは楽しむという感じだろうか。もうひとつの趣味である「映画」に関して、大きな影響を与えたのはーー。 「やっぱり、タランティーノじゃないですかね。『パルプ・フィクション』とか『レザボア・ドッグス』とか。北野武さんの『その男、凶暴につき』や『3-4X10月』も夢中になって観ていました。マーティン・スコセッシーやデヴィッド・クローネンバーグ、ブライアン・デ・パルマとかも観ていましたね」 補足するが、マーティン・スコセッシーは『タクシードライバー』『レイジング・ブル』、デヴィッド・クローネンバーグは『ビデオドローム』『スキャナーズ』、ブライアン・デ・パルマは『キャリー』『殺しのドレス』……といった、マーティン・スコセッシー以外の二人は大雑把にいうとカルト作品の監督たちだ。そんな中でもやっぱり塚本普也監督の影響は大きかったという。 「『鉄男』『TOKYO FIST』。塚本さんの存在は一番大きかったです。僕が初めて出た映画は『BULLET BALLET/バレット・バレエ』(2000年)でしたし…。19歳のときオーディションを見つけて、受けたんです。俳優を勉強したいと思わせてくれたのも『BULLET BALLET/バレット・バレエ』でした。それまでは映画監督をやりたいって気持ちの方が大きかったんです。そのつもりで東京に出てきてましたから」 ところが、『BULLET BALLET/バレット・バレエ』は、実は滝藤さんに決まっていた役が無くなるというアクシデントに見舞われた。しかし、滝藤さんは諦めきれずに塚本監督に直訴した。 「何考えてたんですかね……今やったら大問題です。当時は若かったし、自信とか勢いで、ただ映画に出たいという気持ちが突き動かしたんだと思います。しかし、あの自信って何だったんだろう(笑)」