統合の鍵握る、3つの研究院

── 10月1日にいよいよ東京科学大学が誕生します。これまで統合に向けてどんな準備を進めてきたのでしょうか。 両学長を中心に統合準備委員会を46回開催してきました。最初は参加者が50人ぐらいだったのですが、最後の会議には200人ぐらい参加していました。だんだん枠を増やしていき、最終的にそれぐらいの人数で統合の準備を進めてきました。 もちろん、大学教育はいきなり変えられませんし、入試も「2年前ルール※」があるので、すぐには変えられない。こうした、これからやらなければならないことも残っています。 ただ、研究面では大きな変更が10月1日に間に合いました。そこは期待しているところです。 ※入試のルール変更の際には、2年以上前に受験生に伝達しなければならないルール。 ── 研究の何が変わるのでしょうか。 「総合研究院」「未来社会創成研究院」「新産業創成研究院」という3つの研究院を設立するところが一つの肝になります。 「総合研究院」には常勤・特任合わせて497人の教員（研究者）が在籍します。数のパワーに加えて、そこには医科歯科大と東工大の研究者が集まります。 ── 両大学の研究者が一堂に会する研究所を建設しているということですか？ 建物を作るわけではありませんが、組織として一体のものを作ります。 東工大には4つの研究所（未来産業技術研究所、フロンティア材料研究所など）のほか、研究センターやユニットがあります。医科歯科大にも、2つの研究所（難治疾患研究所、生体材料工学研究所）と研究センターがあって、それらが一つの組織になります。 人数は東工大出身者の方が多いのですが、医科歯科大出身の方に研究院長になっていただき、この大きな研究組織をまとめていくことになります。 ── 組織を一体化することで、どういう効果を期待していますか。 実際に動いていないので、まだ大きなことは言えません。ただ、組織の中で話を密にしていく取り組みは、総合研究院の創設ワーキンググループとしてすでに進めています。 そこでは、お互いの研究所の成り立ちや、日頃何を考えていて、どんな研究テーマ・研究者がいるのか。ノーベル賞を取りそうな研究はどんなテーマか。そういった話が広がっています。一体になった組織だからこそ、（分野をまたいで）話ができるようになりました。 それが次の新しい研究所や研究分野をつくる端緒になることは間違いないと思います。 ── 異なる研究分野をつないで、新しいアイデアの源泉にしたいということですね。ただ、組織を作るだけで、本当に実効性はあるのでしょうか。 同じ桶の中に入る、ということはやっぱり大事なのだと思います。総合研究院の中では人の結びつきも、移動も、自由に研究やってくださいねと話しています。そういう自由度の高い研究組織はできたと思っています。